国際高専:国際高等専門学校

国際高専の海外コーオプ教育プログラム 海外の企業で社員として4ヵ月間、専門業務に従事

5年生の勝又舜介さんが、後学期の授業科目「コーオププロジェクト」(Coop Project)の一環で、タイのスタートアップ企業支援施設で9月から1月初旬までの約4ヵ月間、業務に取り組みました。「コーオププロジェクト」は、第5学年の後学期に割り当てられており、1学期分にあたる長期にわたって、海外の専門分野の企業で、社員として報酬を得ながら就業体験を行います。1年生から培った英語でのコミュニケーション能力や専門分野の知識・技能、課題発見・解決の手法などを、海外の企業における実務で活かすことで、グローバルイノベーターとしての資質の向上を図ります。

国際高専にける「コーオププロジェクト」の実施は、20184月より国際高専として新カリキュラムを開始して以降、この度の勝又さんが初めてのケースとなります。

「コーオププロジェクト」帰国報告会を行う勝又さん (2023年2月3日国際高専金沢キャンパス)

コーオププロジェクトについて

「コーオプ」とは、1学期分にあたる期間を、自分で選んだ専門分野においてフルタイムで働き、単位として認定する米国発祥の教育モデルです。

「インターンシップ」が1~2週間程度の企業主導の短期就業体験で、原則的に報酬が無いのに対して、「コーオプ教育」では大学と企業が共同で策定したカリキュラムにもとづき、学生が4ヵ月間から1年間という長期間、企業の社員となり、報酬を得ながら自身の専門に関連した業務に従事します。プロのエンジニアが働く環境を学生が実体験することで、将来に向けた方向性を早い段階で検討できるとともに、これまで学んだ専門分野の知識・技能を実社会で活かす実践力を身につけ、エンジニアとしての資質向上に資する機会になっています。

 

【国際高専におけるコーオプ教育プログラムの実践】

国際高専では5年生の後学期に「コーオププロジェクト」(Coop Project)という科目で実施されます。海外の企業で英語を使って実務を行うのも国際高専の大きな特色です。提携する海外のホスト校での事前研修などを経て、マッチングされた企業で専門分野における就業体験を実施します。アカデミックなカリキュラムと有給の就業体験が統合された実社会での応用に基づく総合的な工学教育を長期にわたって実践するプログラムとなっています。

なお学生は第5学年の後学期にわたり海外に渡航するため、国際高専卒業に必要な第5学年後学期の「エンジニアリングデザインVB」(卒業研究に相当)などの数科目が受講できないため、これらに代わり本プログラムを終了し「コーオププロジェクト」の単位(8単位)を取得することにより、卒業要件をみたすことができます。

【国際高専が「コーオププロジェクト」で提携している海外のホスト校について】

国際高専では「コーオププロジェクト」を実施するにあたり、タイのスラナリー工科大学と提携しています。当大学はタイにおけるコーオプ教育のモデル校として知られ、学生たちはASEAN諸国と交流し、世界への視野を広げながら、多様な文化や環境の中で学び、仕事を得る機会を広げています。

【勝又さんの取り組みの概要】

勝又さんはキングモンクット工科大学トンブリ校がタイの技術革新能力を高めるために設立した「KX knowledge xchange」(以下KX)で勤務しました。「KX」はアイデアやイノベーションの創出を刺激する場として建てられた施設で、新規事業やスタートアップ企業のためのメイカーズスペースやベンチャー企業の成長を支援するイノベーションラボなどを備える他、コンサルティングサービスなども行っています。

勝又さんは、「KX」に入る企業データの集計・分析やスタートアップ企業の売上予測、Webサイトの制作などに取り組んだほか、「OBD」と呼ばれる骨密度測定機器のUI(ユーザーインターフェイス)とUX(ユーザーエクスペリエンス)のリデザインを担当。患者情報の入力画面やボタンの使いやすさを考慮した新たなデザインを行いました。

4ヵ月間のタイでの実務経験から勝又さんは、

  • 日常の一部として、毎日働くことを経験し、ワークライフバランスの大切さがわかった。
  • 実社会のデータはノイズ(不要な情報)が多く、情報系の仕事をしていく上でそれらを判別することが不可欠だと知った。
  • 英語で仕事をする上で、相手の要求を適切に理解し、自分の意見を伝える難しさを感じる時もあり、コミュニケーション力の重要性を痛感した。

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