国際高専 2025 In Sight
2025 In Sight
国際高専2025 In Sight
平成30(2018)年4月、本校は学校名を金沢工業高等専門学校から国際高等専門学校(以下、国際高専)に変更し、電気電子工学科、機械工学科、グローバル情報学科を統合した「国際理工学科」を、新たに建設した白山麓キャンパスにてスタートさせました。
1、2年生は大自然に囲まれた白山麓キャンパスで、授業の多くを英語で学ぶ全寮制教育を行い、地方創生に寄与する様々なプロジェクト活動に取り組みます。3年生はニュージーランドの提携校に全員が1年間留学し、4・5年生は金沢キャンパスで隣接する金沢工業大学生との共創教育を実施します。
国際高専は、我が国の先駆となる理工学教育を着実に成功へと導き、KITスクールシステムを基盤とし更なる発展を遂げることを目的に「国際高専 2025 In Sight」を策定しました。
【教育目標】グローバルイノベーターの育成
【ICT Educational Mission】Fostering Leaders of Global Innovation
1.リーダーシップコンピテンシーを育成
本校が描くグローバルイノベーターは、最新の理工学知識や洞察力を持つだけでなく、創造的な解決策を用いて、新しい価値を生み出す機会を見つけることができる人です。それだけでなく、様々な分野の専門家たちと効果的にコラボレーションすることができ、文化や価値観の多様性を尊重し、より良い世界の実現に向け、変革の波を起こすスキルを持つプロフェッショナルでもあります。
このような能力を、私たちはディプロマ・ポリシー(9つのリーダーシップコンピテンシー)に定め、その育成を目的に以下の教育を推進します。
1)社会に貢献するリーダーとしての人間力を形成する教育を推進します。
- 自らのMissionをベースに社会的な視点から課題設定を行い、リスクを恐れず達成に向かうリーダーとしての人間力を形成する
2)グローバルに活躍できるコミュニケーション能力を育成する教育を推進します。
- 日本と世界に関する教養を備え、多様性の中で自らの価値を認識し発揮できるコミュニケーション能力を育成する
3)イノベーターに相応しい卓越した科学技術力を習得する教育を推進します。
- 早期からの基礎固めと、金沢工業大学と連携した幅広い学問領域の探求により、多角的な視野で価値を創出できる卓越した学力を身につける。
9つのリーダーシップコンピテンシー
① 革新への挑戦
信念(高い志・強靭な意志)を持って行動し、失敗に臆することなく粘り強く挑戦し続け、自身やチームを成功へと導くことができる。
② 社会的使命感
地域社会や自然環境に関心を持ち、社会的な課題の解決に使命感を持っている。
③ リーダーとしての高潔
グローバルな環境でリーダーシップを発揮しつつも、謙虚で他者への思いやりを持ち、尊敬される人格である。
④ コラボレーション
チームで目標を達成するために、自分の役割と提供できる価値を認識し、積極的に貢献する。
⑤ 多様性とアイデンティティ
多様な文化・芸術・歴史観・宗教観・価値観を理解するための基礎的な教養を持ちつつ、その中で自らの考えを持っている。
⑥ 心を動かす力
考えを論理的にまとめたうえで、相手の立場や気持ちを考慮しながら効果的に伝えることができる。
⑦ 価値創出
幅広い学問領域の探求とデザインシンキングの実践により、これまでにない価値を創出することができる。
⑧ 自然・社会・産業と結びつけた科学的思考
科学技術を自然・社会・産業の面から理解・分析し、自分の考えを述べることができる。
⑨ 常に学び続ける姿勢
確実に身に着けた基礎を土台として、常に新しい知識やスキルを獲得する姿勢を持っている。
2.理工系リベラルアーツ教育を実践
不確実性が増す社会にあって、教育の中心は知識の獲得ではなく、問題発見・解決の思考方法やそのプロセス、並びに自ら考える力をしっかりと身につけさせることにあります。
本校は、デザインシンキング・IT・モノづくりを学び、問題発見・解決型の創造的チーム活動を行う「エンジニアリングデザイン」を柱に、英語による理工学的思考力を育む「English STEM」と、地域創生活動など人間力を鍛える「課外活動プログラム」とを統合した理工系リベラルアーツ教育を実践し進化させます。
1)考える力、デザイン能力を高めます。
- 洞察力を養い、多角的な視野で問題を理解し、イノベーションの機会を発見する能力を養成する。
- 批判的・分析的思考を磨き、決まった答えのない問題の解決策を探る。
- 挑戦することによる失敗を歓迎し、試行錯誤の過程から多くのことを学ぶ。
2)STEM教育により、理工学の広い知識・スキルの修得を図ります。
- 研究やプロジェクト活動等を通じて、問題解決に必要な知識をつくりだすプロセスを学ぶ。
- 学んだことを統合し応用できる能力を養成する。
3)SDGsの17の目標を念頭に、様々な社会課題に取り組みます。
- 技術者倫理、資源環境、モノのライフサイクルなど、SDGsの観点から多面的に考える力を養う。
- 身近な社会課題が地球規模の課題に結びつくことを理解し、自身のミッションを発見する。
- 「第二のふるさと」である白山麓のステークホルダーとして、自然環境の保護や地方創生活動に取り組む。
4)世界的工学教育CDIOの理念を織り込んだ社会実装型教育を展開します。
- 産業界の実践(Conceive-Design-Implement-Operate)に沿った体験型学習を通じて、創造的知識・スキルをしっかりと身につける。
3.グローバル教育の推進
本校は、グローバル人材育成のフロントランナーとしての気概を持ち、これまでに培った教育力・国際交流のネットワークを生かし、本校の「国際化推進に関する方針」が示すように戦略的に学校全体のグローバル教育を推進させます。
1)グローバル人材としての基礎力を育成します。
- 自国の文化を理解し、自身のアイデンティティを形成する。
- 国際的な体験を通じて、異文化を理解し尊重する態度を養う。
- 世界の人々と協働して新たな価値を生み出す経験を積む。
2)学生および教職員の海外協定校との交流を更に発展させます。
- ラーニングエクスプレスやサービスラーニングなど、プロジェクト型の海外短期派遣プログラムを推進する。
- 海外インターンシップやコープ教育など、長期体験型のプログラムを推進する。
- 国際交流ネットワークを生かし、教育研究活動を充実・発展させる。
4.KITスクールシステムの確立
国際高専(5年間)と、金沢工業大学及び大学院(4年間)の9年一貫教育により、「グローバルイノベーターの育成」を強力に推進する「KITスクールシステム」を創設し、2018年4月よりスタートしました。KITスクールシステムは、学年が進むにつれて教育環境を変え、より複雑な課題に取り組むことができます。
本校は、最適な場所で最大の成果を生む教育に尽力します。
1st Stage:1、2年生は、自然豊かな白山麓キャンパスのボーディングスクールで学ぶ
2nd Stage:3年生は、全員が1年間のニュージーランド留学・ホームステイを経験する
3rd Stage:4、5年生は、金沢工業大学生と世代・分野・文化を超えた共創教育に参加する
4th Stage:大学編入学以降は、高度な研究環境でイノベーションプロジェクトに取り組む
1)広く豊かなキャリア形成を支援するシステムを構築します。
- KITスクールシステムのカリキュラム作成・実施及び継続的な改善を行う。
- 広い理工学の基礎をつくり、個々の学生の希望に基づき専門性を深めていくきめ細かな学習指導・キャリア支援を構築する。
2)教育の目的に沿って効果的に統合された授業を実施します。
- 協働性・創造性などの汎用的スキルや、リーダーシップ・倫理などの人間力も、知識を獲得する過程で同時に養成する授業を実施する。
- 一般教養と様々な専門分野を、目的や達成目標に沿って統合した授業を実施する。
- 講義、探究、議論、創作、発表、省察が、効果的に組み込まれた授業を実施する。
3)金沢工業大学との共創教育を推進します。
- 長期のインターンシップや留学などを組み込んだコースを設ける。
- グローバルイノベーター育成のために産学連携教育を推進する。
- それぞれ異なる能力や背景を持つ学生、社会人、外国人の混合チームによる共創プロジェクトを実施する。
- 海外からの留学生にとって魅力的な学習環境を整備する。
4)KITスクールシステムの教育・学習支援システムを整備します。
- 修学アドバイザーが、個々の学生の学習指導、履修アドバイスを行う。
- 個々の学生の成長にあわせた9年一貫の学事システムを整備し運用する。
- 新しい教育に適合する学事・成績・活動評価システムを整備し運用する。
5)学校運営及びKITスクールシステムの継続的な改善を図ります。
- IR委員会を設け、教育・学習状況を把握・評価し、継続的な改善を図る。
5.最上のラーニングコミュニティの形成
ラーニングコミュニティとは、学生と教職員が主体的に学び合い人間性を高め合う“場”です。“KIT-IDEALS”を行動規範とするラーニングコミュニティでは、学生と教職員の個性・多様性が尊重され、キャンパスライフがカラフルと感じる“場”を創造します。
1)ダイバーシティが確立された学校をつくります。
- 広く全国から学生が集う学校を目指す。
- 帰国子女や海外からの留学生を増やし、多様な学生が集うキャンパスを実現する。
- 理工学が女性にも面白い分野であることを周知する。
- 世界に教員・職員を求め、外国人の割合を確保する。
2)入学から卒業・修了までをしっかりサポートする仕組みをつくります。
- ポートフォリオシステムを活用し、きめ細かな学生指導を行う。
- キャリアアドバイザーが学生のキャリア形成をサポートする。
3)学生と教職員が共に学ぶ学校をつくります。
- 学生同様、教職員も常に学ぶ精神と機会を持つ。
- 全教科にてアクティブラーニングを推進する。
- 革新的な教育技法やツールを積極的に活用し、より効果の高い授業を実現する。
- イノベーション、チャレンジ精神のある教職員の行動を奨励する。
4)地域連携教育を推進します。
- 地域連携・産学連携を推進し、創造的で実践型の教育プログラムを実施する。
私たちは、この「国際高専 2025 In Sight」に示す計画の達成をめざし、グローバルイノベーター育成のための教育を実施し、将来にわたり無くてはならない学校と成ることを目指します。