よくある質問:教育
FAQ : Education
国際高専とはどのような学校ですか?
国際高等専門学校は、5年制の高等教育機関です。
中学校卒業後の15歳の段階から、英語を用いて「STEMによる専門基礎教育」、「エンジニアリングデザイン教育」、「課外活動プログラム」の3つの柱からなる教育によって、視野を広げること、思考力を高めること、チームで教え、学び合うことの喜びを体得出来る教育環境とシステムを構築しています。
1・2年生における寄宿学校では、「夜の学校(ラーニングセッション)」があり、授業の予習・復習やプロジェクト活動により、習熟度に応じた学習支援を行います。3年生は現地学生と共に学ぶニュージーランド留学、4・5年生は金沢工業大学の学生と共に学ぶ教育・研究プロジェクト、さらには卒業後シームレスに学びを継続出来る金沢工業大学への特別推薦制度があります。
5+4とは何ですか?
国際高専の5年間と金沢工業大学(学部3年次・4年次+大学院修士課程2年間)の4年間をシームレスに繋ぐ9年間一貫の教育システムです。
国際高専が掲げる「グローバルイノベーター」の育成は、金沢工業大学と一体となって目指す高いレベルの研究者や技術者をイメージしたものです。国際高専卒業後には当然多様な進路が開かれますが、可能な限り、教育システムが準備されている金沢工業大学への進学を推奨します。
金沢工業大学では4年間(学部3年次・4年次+大学院修士課程2年間)に、半年から1年間の国内外の企業等でのCOOP教育(産学連携による実践的なキャリア教育)や留学を希望する学生に提供するプログラムの準備を進めています。
CDIOとは何ですか?
CDIOとは、Conceive(発想する)・Design(設計する)・Implement(実行する)・Operate(運用する)の略で、工学系大学の教育プログラムがエンジニアリングの実務から離れ、エンジニアリングサイエンスが中心となりすぎているとの現状認識から、その改革を目的として平成12(2000)年に米国のMIT(マサチューセッツ工科大学)とスウェーデンの3つの大学が協力して発足したプロジェクトです。
このプロジェクトは、CDIOイニシアチブと呼ばれ、「工学部卒業生は、チームで仕事をする今日的な環境下で複合的な付加価値をもたらすエンジニアリング・システムを発想‐設計‐実行‐運用ができなければならない。」と表明し、これを実現するための教育プログラムの構築を実践している世界の大学に参加を呼びかけているものです。
日本では平成22(2010)年に国際高専が、翌年の平成23(2011)年に金沢工業大学が国内の大学として初めて加盟したものです。 本校はCDIOにもとづいた教育のミッションとして、
- 高度に組み合わされたCDIO活動を盛り込み、相互に支援し合う各教育領域を中心としたカリキュラムを編成する
- 「設計」-「製作」-「テスト」を行う豊富な学生プロジェクトを組み込む
- アクティブで体験的な学習方式を盛り込む
- 授業を教室および近代的学習実験環境の双方で行う
- しっかりした評価プロセスを通じ常に改善を行う
を実践しCDIOが示すさらに高いレベルの教育を目指しています。
デザインシンキングとはどのようなものですか?
人間中心設計を基本とした創造的な問題解決法です。「イノベーション」が思いがけない幸運やたった一人の天才の成果によるのではなく、着想→発想→設計→実現のイノベーション創出のモードの中で、価値創造を追い求める多様なメンバーによる「共創活動」を通じてクリエイティビティを高め、人々が本人でさえ気付いていない内なるニーズを明らかにし、ニーズを需要に変え、より高い顧客価値、新たなユーザー体験の創造を目指すものです。
国際高専では、エンジニアリングデザイン教育において、問題発見解決プロジェクトを行いながら、学生達が主体的に地域・環境・社会トレンド等の様々な情報を統合し、「洞察」「観察」「共感」の三つの要素を起点に、チームでアイデアを生み出し、考える力を鍛える手段として導入します。
理工系リベラルアーツ教育とは何ですか?
理工系リベラルアーツとは、グローバルな社会で指導的な役割を担って活躍する科学者、技術者が持つべき基礎的素養を指しています。
エンジニアリングデザイン教育は、多様なニーズ、多様な情報、多様な科学・技術知の選択と統合の中で最適解をチームで求めていくプログラムです。学生には、加速度的に進展する高度な科学技術に翻弄されることなく、使命感と倫理観をもって「人」に寄り添う科学・技術の担い手になることを求めています。
与えられる課題に「正解」はありません。学生自身が考え抜く中で、自分の「正解」を求め、チームとしての「正解」に統合していきます。こうしたプログラムの中で育まれる様々な能力によって構成される基礎的素養を理工系リベラルアーツ教育と表現しています。
エンジニアリングデザイン教育とはどんなプログラムですか?
このプログラムでは最初に、イノベーションを導く考え方であるデザインシンキングによって、本人でさえ気付いていない内なるニーズを明らかにするため「洞察力」「観察力」「共感力」という互いに相乗効果を持つ三つの能力を開発し、「着想」に結び付けます。そして、CDIOが示す「発想する-設計する」行動をチームで実践してパーソナルスキル、インターパーソナルスキル、さらにはシステム構築の知識とスキルを、ステップを踏んで段階的に高めていくことを目指す理工系PBL(Project Based Learning)教育です。
国際高専オリジナルのエンジニアリングデザイン教育は、本校教育の中心軸となるものです。この位置付けの中で、最も大切にしていることは、エンジニアリングデザイン教育によって、知識の必要性、技術の必要性、能力の必要性等の気付きが学生にもたらされることです。それと同時に、チームの重要性を学生相互が認め合う中で、自分が得意とすること、また不得意とすることについての自覚に基づいた自学自習、さらには学び合う・教え合う、自主的・主体的な活動に発展していくことです。
夜の学校とは何ですか?
白山麓キャンパスでの2年間で数理を中心として普通高等学校の3ヶ年分に相当する学習を完成する計画です。このため、月曜日~金曜日の19:30~21:30には、ラーニングセッションが行われます。
学習内容の確実な定着と、次回授業に積極的に参加する上での重要な全学生必修の課外学習です。
もちろん、担当教員がいます。しかし、教室における授業の延長ではなく、学生同士がチームで学び合い、教え合うことを教員がサポートする形式です。
授業が英語で行われていることから、英語のサポートも習熟度に合わせて行います。また放課後には、エンジニアリングデザイン活動や学生が自主的・主体的に取り組むさまざまなチーム活動を行う時間もあります。
STEM教育とは何ですか?
STEMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の略で、科学技術の急速な進展に対応した教育として、米国のオバマ前大統領が提唱されたものです。従来型の教育で別々に捉えていた数学・物理・化学・生物・情報といった科目を英語で総合的に学び、理工学的思考力を身に付ける新しい教育の方法です。
国際高専ではさらに、エンジニアリングデザイン教育や課外活動プログラムの中で、先の科目群が示す知識がどのように生かされ、使われているかを理解し、知識やスキルが統合化されることを目指しています。
プロジェクトデザイン教育とはどんなプログラムですか?
金沢工業大学のプロジェクトデザイン教育では、チーム活動を主体とするアクティブラーニングを行い、これまでに獲得した知識を応用して、問題解決に取り組みます。この教育で取り扱うテーマは「身近なテーマ」から「社会的なテーマ」そして「企業からのテーマ」「専門的なテーマ」へと、学年に応じて複雑性や制約条件が増します。学年に応じたテーマに対して「問題発見プロセス」「解決策創出プロセス」「検証プロセス」という3つのプロセスの理解と、各々のプロセスに必要とされる様々な手法、ツールの使い方を修得します。専門分野の異なる学生でチームを構成し、多面的な視点からの思考・深い思考など「学生自ら考える」「考えた結果を実行する」等、CDIO各々の流れに沿って実質的な学習が行われます。
これまでに獲得した知識、専門力を応用して「解決策を創出する」「解決策を実現する」ことに加えて「解決策の有効性を検証する」という実践力を育成する理工系PBL(Project Based Learning)で金沢工業大学のオリジナル教育です。
エンジニアリングデザイン教育とプロジェクトデザイン教育に違いはありますか?
国際高専のエンジニアリングデザイン教育はデザインシンキングが、金沢工業大学のプロジェクトデザイン教育はCDIOが、プログラムの骨格を形成しています。いずれも、イノベーションを得ることを目的としたチームによる共創プログラムです。
この二つの教育のもっとも大きな違いは、チームのあり方です。国際高専では、学生を中心とするチーム内でアイデアを生み出し、考える力を鍛えることが主眼となります。学生主体の活動が主となりますが、地域や社会人の参加、意見を求めることで、より多角的視野をもってモノ・コトを捉える共創の態度も養います。
金沢工業大学では、1年次・2年次のPDⅠ・Ⅱは、やはり学生を中心とするチームで考える力を鍛えることを主眼とする取り組みです。しかし、3年次・4年次及び大学院1年次・2年次におけるPDⅢ・Ⅳは、CDIOの「C. 発想する、D. 設計する」のみならず、社会実装を視野に入れた「I. 実現する、O. 運用する」を実践するものです。金沢工業大学では、このために企業との共同研究、地域社会の問題解決等の社会実装研究を中心に世代・分野・文化を超えたチームによって、問題・発見・解決を目指す取り組みを進めています。
入学するにあたってのメリットは何ですか?
近未来の社会が求める人材像を「グローバルイノベーター」と定義し、育成プログラムを模索し、国際高専と金沢工業大学が共同で構築したのが、5+4によるスクールシステムです。
近未来の社会が「グローバルな社会」、「高度な情報化社会」、「高度な知識社会」であることは疑いのないことです。人工知能の出現によって社会に大きな変革が訪れることも必然です。こうした社会において、大切なのは「自ら考え行動出来る」ことです。そして、人としての高いレベルでの思考力こそが、未来社会が最も必要とする能力であると考えます。デザインシンキングによる「考える力の育成」を、感性が最も研ぎ澄まされると思われる15歳からスタートすることに大きなメリットを感じています。国際高専の教育には、未来社会をしっかりと受け止め、リーダーとして活躍できる素養を育成するのみならず、金沢工業大学・大学院と接合することで、さらなる高度化に向けた進路も準備されています。
入学するにあたって、事前に身につけるべき事は何ですか?
理数科目は専門分野を学び、研究を深めていく上で必要ですので基礎をしっかり身につけておいてください。また、本校での英語授業のための事前準備は、中学校3年間で学習した内容を整理し理解をしておくことです。日頃の学習が大切です。時間をみつけて英語で書かれた読み物に親しむことをお薦めします。
グローバルイノベーターとは将来どのような仕事をするのですか?
国際高専が目指す「グローバルイノベーター」とはグローバルな社会で指導的な役割を担って活躍する「技術者」をイメージしています。
国際高専のエンジニアリングデザイン教育には、デザインシンキングやCDIOが示すイノベーションを導く新しい手法が組み込まれています。学生は日常的に、「1. 洞察・観察・共感」「2. 着想」「3. 発想」「4. 設計」を繰り返し、「イノベーター」としての訓練を重ねて行きます。活躍の舞台が増々グローバル化する近未来において、与えられた舞台で多様な文化や価値観を持つ人々と協働して、新たな価値を作り出せる「イノベーター」こそが求められる人材と考えます。
エンジニアリングコンテキストはどのような授業内容ですか?
エンジニアリングコンテキストでは、人々の生活環境を取り巻く、加速度的に進展する高度な科学技術やエネルギー環境、社会環境、ビジネス等の変化ついて理解を深める活動を行います。これらを踏まえた上で、そのような変化に翻弄されることなく、「人」や「環境」に寄り添う科学・技術の担い手になるべく「使命感」や「倫理観」を育む倫理教育を実施し、STEM(「科学」「技術」「工学」「数学」)統合の意義、ビジネスデザインやアントレプレナーシップ等について学びます。これらの活動では、多様なニーズ、情報、科学・技術知の選択と統合の中で最適解を導き出すために必要となるスキルや考え方の基本的素養をケーススタディを通じて涵養します。また活動を通して、学習の記録やレポート等を作成していくことで個々の基礎学修スキルの向上も図ります。そしてエンジニアリングコンテキストで身につけた知識や考え方を、エンジニアデザインの問題発見・解決活動の中で活用します。
ブリッジイングリッシュとはどのような授業内容ですか?
本校では数学、科学、工学の科目も英語で学びます。突然英語でそれらの科目を学習することに戸惑わないように、また、授業への理解を深めるために行われる準備授業のことです。数学、科学、工学を英語で学ぶ際に必要となる語彙や表現方法を学習するものです。
コンピュータスキルズとはどのような授業内容ですか?
コンピュータスキルズでは、ドローイング、プレゼンテーション、レポート資料作成に必要となるコンピュータ・リテラシー、確率・統計・モデリング等のシミュレーション、センサー・マイコンを用いたプログラミング基礎、情報発信の為のWebデザイン・アプリケーション開発等の基礎的知識とスキルの向上を図ります。コンピュータスキルズで身につけたスキルや知識は、エンジニアリングデザインの中でプロトタイプ制作や発表時に応用します。
英語力はどれくらい必要ですか?
入学時に英検準2級以上といったレベルの指定はありませんが、中学校でも英語に興味を持って学んでいてほしいと思います。3年生のニュージーランド留学までにはIELTS(アイエルツ/英語能力テスト)5.5レベルの英語力を身につけることを目標としています。
留学生や帰国生は英語の授業はレベル別なのでしょうか、
日本語があまり得意ではないですが、日本語や日本の文化を学べますか?
英語を母国語或いは第一言語とされている方は、第二言語(外国語)として、次の日本語プログラムの授業を受けます。1年生に「日本語ⅠA(5単位)」、「日本語ⅠB(2単位)」、2年生の前学期に「日本語Ⅱ(2単位)」、後学期に「日本語コミュニケーション(3単位)」の授業を用意しています。また キャンパスの内外で、さまざまな体験活動を行います。茶道や華道、武道、太鼓や音楽、お祭りへの参加など、地域での生活体験、伝統文化や芸能、ものづくり、研修旅行など、日本の文化に触れる機会が数多くあります。
帰国生や留学生に対する英語の授業は一般生(国内生)と異なっていますか?
留学生や帰国生に対する英語は母国語としての英語です。英語を主として学んでこなかった方(日本に住み、日本語で生活を行ってきた方など)が受講する英語とは異なります。英語を母国語或いは第一言語とされている方は、第二言語(外国語)として、日本語プログラムの授業を受けます。