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4年生のエンジニアリングデザイン最終発表 Fourth year students' final presentation for Engineering Design IV

Fourth year students' final presentation for Engineering Design IV

2024年1月24日(水)、国際高専4年生のエンジニアリングデザインIV最終発表会が行われ、学生たちが後学期の研究成果を披露しました。発表は対面で大部分は英語で行われました。各研究の簡単な紹介と動画を掲載いたします。

Development of Controlment System and Audio System in Robot Contest
バシュロ・琉海ジェームズ

バシュロさんは高専ロボコンの参加メンバーで、回路とプログラムを担当しました。発表は始めに高専ロボコンのルール概要を説明したあと、自分の目標やその達成度について話しました。バシュロさんが設定した目標はロボットが仕様通りに動き、地区大会を勝ち上がるような回路とプログラムを組むこと。これに加えて、会場を楽しませて、視聴者に国際高専を印象付けることでした。

楽しませるギミックとは光と音のことで、ロボットのコンセプトであるクレーンゲームを模した電飾とGarageBandで作曲したオリジナルの音楽を搭載しました。結果として、全国大会進出は叶わなかったものの、ロボットは狙い通りの動きを見せ1勝することが出来ました。バシュロさんはこの経験から回路やプログラミングについて多くを学んだと言います。反省点としては会場の音が大きすぎて音楽がかき消されてしまったため、より大きなアンプを搭載するべきだったと述べました。また、決勝進出は果たせなかったものの特別賞を受賞し、NHKの番組にも取り上げてもらい、国際高専をアピールすることが出来ました。

Assistive Work in Robocon
本田詩織

本田さんも高専ロボコンの参加メンバーで、安全管理やバッテリー管理などのサポート役に加え、演出面を担当しました。国際高専のロボットはクレーンゲームのUFOキャッチャーをコンセプトにしており、本田さんはそこに物語と世界観を作り上げました。クレーンゲームの景品として石川県特産の果物を発泡スチロールで作り、世界観を演出するためにチームメンバーのヘルメットとコスチュームを自作しました。登場人物は子供、母親、景品のサルのぬいぐるみ、UFOに乗る宇宙人です。果物は重量制限を超えてしまったため中身をくり抜いたり、新聞紙で作り直したりして軽量化を行い、制限すれすれの29.9キロで計測を合格しました。安全管理の役割も、安全チェック項目に則ってロボットの尖った角にクッションを設置するなど危険を予防しました。結果として、演出面はNHKの番組内で大きく取り上げられ、安全面は怪我人を出さず、安全管理について多くを学べたと本田さんは言います。

Development of Hybrid Rocket
勝方正宗、酒井瞭

勝方さんと酒井さんは共同してハイブリッドロケット製作に挑戦しました。ハイブリッドロケットは2種類の燃料を組み合わせるロケットエンジンの種類で、2人の目標は製作過程を記録し、推力の数式と実際のパフォーマンスを比較することです。今回の発表では後学期で完成した燃焼室について発表しました。燃焼室のデザインは勝方さんが行い、酒井さんが3Dモデリングと3Dプリントを担当しました。大きさは金沢工業大学の夢考房で製作が可能な最大に設定し、完成時は200メートルほど飛ぶ計算となっています。勝方さんの発表では計算式を公開し、高圧ガスを燃焼させると生み出される推力について説明しました。酒井さんは高圧ガスの注入口となるバルクヘッドの設計で注意した点などを述べました。プロトタイプを元に自作した燃焼室はアルミニウム合金を素材とし、CNCと旋盤を使って製作しました。すでに圧縮空気を用いた漏れ試験を合格しています。計画ではノーズコーンを製作予定であったが、型を作る必要があり未達成です。勝方さんはシミュレーションと実際にロケットを飛ばしたデータとの比較が出来なかったことが心残りと述べました。

Designing Empennage for Tail Controlled Aircraft
山崎史依

山崎さんは3年次のニュージーランド留学時のホームステイ先で目にしたカモメから研究のアイデアを得ました。旅客機とカモメの尾翼を比較すると、旅客機には水平尾翼に加えて垂直尾翼がありますが、カモメは水平尾翼しかありません。山崎さんはどのようにカモメが水平尾翼のみで飛行をコントロールしているのか興味を持ち、研究テーマに決めました。カモメを観察すると飛行中は空気抵抗を減らすために尾翼を細くたたむが、離着陸時は約75度尾翼を扇のように広げることがわかりました。また、上下気に尾翼を動かすことで上昇と下降のコントロールしていました。山崎さんは尾翼を調節できるゴム動力模型を入手し、様々な尾翼の角度で実験データを収集。それを元に可動する水平尾翼をFusion360で設計し自作しました。これは尾翼の上下と拡がりをサーボモータで動かすことが可能で、デモンストレーションとして煙を発生させて気流の動きを観察した風洞実験の動画を公開しました。
※山崎さんの希望により、動画はありません。

Development of a Chatbot for the Introduction of School Facilities
戸塚裕基

戸塚さんは国際高専の金沢キャンパスがある金沢工業大学学園のキャンパスマップ向けに、施設紹介をするチャットBOTを開発しました。金沢工業大学は建物の名前が番号になっており、最初は迷ってしまう学生がよくいます。この課題を解決するため「カフェテリア」などと施設名を書き込むと説明とともに場所を教えてくれるプログラムをPythonで構築。文字入力に加えて音声による質問も可能で、案内はOpenCVを使って学園の地図を表示しての案内することもできます。デモンストレーションでは実際のチャットBOTを披露しました。今後改善したい点として、現在は同時に行えないウェブページ表示と音声再生と、地図表示が見やすくなるようにデザインを見下ろしに変更する点を挙げました。

Application of Image Recognition in the Implementation of a VALORANT Analysis System
中里優斗

中里さんはeスポーツゲーム「Valorant」のAI解析アプリの開発を行いました。Valorantはチームスポーツで、選手とコーチ以外に試合状況を正しく把握し、的確な指示を選手に伝えるアナリストと呼ばれる役割が存在します。しかし、アマチュアチームはアナリストを雇えない場合が多く、中里さんはこの課題をAIで補うアプリの開発に臨みました。研究の大きな障壁として、AIに学習させるためのデータ収集手段が限られている点が挙げられます。そこで中里さんは常に表示されているミニマップに注目。試合フィールドと共に両チームの選手たちの情報が表示されるため、画像認識を使ってAIに学習させれば試合が解析できるのではないかと考えました。使用したのは高速な物体検出アルゴリズムYOLOで、中里さんは有利不利状況がわかる1,000枚の画像をラベリングし、AIが学習できる環境を構築しました。残念ながら現在はまだ学習段階で開示できるものはありませんでしたが、今後はエラーを解消し、分析したデータから試合を解析するツールのデバッグ及び完成を目標としました。

Utilization of Motion Capture in Creating the VFX
キルパラーニ・アニッシュ

キルパラーニさんは映画や特撮ドラマで使用されるビジュアル・エフェクツ(VFX)と金沢キャンパスに新しく導入されたモーションキャプチャー機材を使い、国際高専のプロモーション動画を制作しました。昨年金沢キャンパスのラーニングコモンズに新たに設置されたモーションキャプチャーでは、8方向から対象を撮影し、動きからアニメーションを作ることが可能です。動画制作に使用したソフトはBlenderAfter Effectsで、モーションキャプチャーで取り入れた動きで怪獣ゴジラを動かしました。制作した動画内でゴジラは約3000フレームの間登場します。従来であれば3000コマのアニメーションを手作業で作る必要があるため膨大な時間がかかりますが、モーションキャプチャーを使用すれば滑らかな動きが簡単に作れます。デモンストレーションで再生した動画ではゴジラに襲撃される白山麓キャンパスが映され、ミサイルで応戦するもゴジラの反撃に遭い跡形もなく破壊されて笑いを誘いました。

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