国際高専:国際高等専門学校

5年生のエンジニアリングデザインV最終発表 Fifth year students' final presentation for Engineering Design V

2023年1月25日(水)、国際高専5年生のエンジニアリングデザインV最終発表会が行われ、学生たちが後学期の研究成果を披露しました。対面での発表が予定されていましたが、大雪のためZoomでの開催となりました。5年生は国際高専に校名を変更した最初の学年であり、国際理工学科1期生としての集大成に注目が集まりました。それぞれの研究内容を簡潔に紹介します。

『マルチコプタの高度制御実現に向けての一考察』 青木 心路

青木さんと喜田さんの2名は飛行ロボコンに出場し、マルチコプター部門で見事3位に輝きました。青木さんの発表では飛行ロボコンまでに行った制御の報告に加え、大会後、高度制御実現に向けて製作した実験用ドローンと、機体制御を行うために使用した高度センサについての成果をまとめました。結果としてドローン製作は完了し、高度センサから値を取得することには成功したのですが、取得した高度から機体制御まで到達できなかったことを今後の課題としました。

 

『マルチコプタCFRP立体フレームの製作』 喜田 湧也

ドローンの製作を担当した喜田さんは、独自に開発した円形フレームの中心に糸で制御部分を釣った機体デザインを紹介しました。CFRPをコの字で円形にすることで軽さと強度の両立しつつ、振動を抑えることに成功しました。さらに、糸の貼り方や、コの字のCFRPで円形の機体を製作するために行った試行錯誤について解説しました。また、今後の課題としてはワンオペとなったこの技術を後輩へ伝承する方法としました。

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『広告によるのと鉄道利用客数の変化』 ザヒド 昴

ザヒドさん、馬場さん、木下さんの3名は石川県の能登地区の活性化を目標とした活動をそれぞれ行いました。ザヒドさんは8月に企画したスタンプラリーのために関東対象のインターネット広告を予算1万円で制作し、その集客効果を検証しました。結果として広告をクリックした人は多数いたものの、実際のスタンプラリー参加者のほとんどは現地市民で、1万円の広告費では効果が限定的であると結論付けました。

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『能登の観光を盛り上げる』 馬場 敢太郎

馬場さんは人口減少が進む能登の観光産業を盛り上げるためにメタバース仮想空間で再現する新感覚の観光体験のアイデアを企画し、ビジネスアイデアコンテスト「M-BIP」で発表、見事入選に至りました。仮想空間内は観光スポットが再現されており、買い物も行えます。またゆくゆくは自動運転車で観光地への移動サポートも行いたいと話しました。

関連記事:ビジネスアイデアコンテスト「M-BIP」入選

提案したメタバース観光地の概要図

 

SHIRO-NEKO ROBOT』 木下 もみ

木下さんは能登のみならず全国的に増加している無人駅に注目し、解決策としてのロボット駅長の企画・提案を行いました。ロボット駅長は無人駅に配置し、乗り換え案内や天候などの簡単な受け答えができます。また、設置型のロボットと違って乗客が訪れると近寄って挨拶をしたり、駅構内のトラブル発生時に緊急通報することが可能です。

乗客と会話するロボット駅長のアイデア図

 

IMPROVING A HAIR CURLING IRON CONSIDERING LESS DAMAGE FOR HAIR』 瀬戸 悠華

瀬戸さんは自身のカールアイロン使用時に髪がパサつく経験から低温ヘアカールアイロンの研究を始めました。人間の髪は100℃以上の加熱で硬化してしまい、一般的なカールアイロンでは痛んでしまうと言われています。瀬戸さんは加温成形後にヒータを急冷して形を固めるヒートクール法に着目し、ヒータ熱源にペルチェ素子を使用することで加温と急冷を交互に行う低温ヘアカールアイロンのプロトタイプを開発しました。発表では開発の過程や研究データを公開しました。

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『姿勢推定プログラムによる姿勢の改善システムの製作』 深山 寧皇

深山さんは長時間のゲームによって引き起こされる肩こりや腰痛に注目し、Mediapipeを使用して座っている人間の姿勢推定プログラムを作成しました。Mediapipe Poseによって人体の姿勢を数値化し、時間経過と共に変化をグラフ化。緊張している時は深い前傾姿勢と浅い前傾姿勢を繰り返している発見をしました。

Data Analysis in Business』 プラチャクタム・イッサダー

プラチャクタムさんはデータサイエンスを使ってタイから輸出されている蘭の需要について研究を行いました。アジア、ヨーロッパ、アメリカの主要な蘭輸入国19か国のデータをグラフ化して比較。ピアソンの相関係数、多変量統計、重回帰分析などの分析テクニックを駆使し、国ごとの気候や文化の違いによって需要が変化するのかを算出しました。そのデータから予想モデルを作って実際のデータと照らし合わせて測定、「的中率52%」という結果を得ました。この数値について「もっと正確なデータが必要」「ランダム要素があり、実社会ではデータ不足も起きる」と考察を述べました。

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気候によって変化する蘭の需要

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