国際高専:国際高等専門学校

FD研修 Faculty Development Workshop

Faculty Development Workshop

2021年4月17日(土)、白山麓キャンパスのFD研修が実施されました。FD研修は授業内容等の向上を目的として行われる教員対象の研修会です。今回は白山麓キャンパスで授業を持つ教員7名が参加しました。今回はアメリカで2000年にスタートしたチャータースクール、「High Tech High」という学校をフィーチャーしたドキュメンタリー映画『Most Likely to Succeed』を鑑賞し、国際高専との類似点や取り入れることができる点について議論を行いました。

High Tech Highは、カリキュラムに沿って教科書や宿題を使う従来の学校スタイルは、130年前の高度成長期に合わせた古いシステムとし、現代の必要な人材を育成できないという観点から新しいスタイルの教育方法を取り入れている全世界が注目するまったく新しい学校です。高度成長期のアメリカでは工場で働くために全国の人間が読み書きなど、同じ知識を共有することが重要で、それを達成するために現在の学校スタイルが誕生しましたが、それから130年間も経って時代は大きく変化しているのに、世界中の国がいまだにこの古いシステムを使い続けています。近い将来、中間所得層向けの仕事のほとんどはロボットやAIに取って代わられてしまうため、人間だからこそできる仕事をする人間を教育する学校を模索する必要がある、という考えです。

映画の中でも触れていますが、大学に合格した生徒は、それ以前に学んだ授業の内容をほとんどを忘れるという研究結果があります。それもそのはず、大学の入学試験に必要な知識は実社会に就職したあとに必要になる場面が非常に少ないのも事実であり、仕事で成功するため必要なのはインターネットでいつでも入手できる知識よりもコミュニケーション能力、チームワーク、新しいことを学ぶ能力、批判的思考能力、グロースマインドセットなどの「ソフトスキル」と呼ばれる能力たちです。映画の中ではHigh Tech Highの教員が「テストは教科書などを見てはならず、ひとりで取り組むが、実社会のプロジェクトの場合、知識は積極的に外部から取り入れることを求められるし、他人と協力をすることが不可欠である。実社会に必要なスキルと逆の教育をしている」と語りました。

例えば、従来の歴史の授業だと、1年間かけてアメリカ史を教えるためには独立や南北戦争といった重要な出来事でさえ1日で終わらせなければ間に合いません。先生は学生の質問に答えている時間はありませんし、生徒も黙ってノートを取って暗記します。High Tech Highの歴史の授業では生徒に「チームを組んで、文明の誕生と崩壊を物理的に表現する時計仕掛けの巨大なボードを作る」という1年間の課題を出します。教科書もありませんし、宿題もありません。しかし、生徒はチームワークを学び、自分で調べることを学びます。自分たちで選んだテーマだからこそ好奇心も学習の深みも違います。また、1年間の最後には一般人を迎え入れて、生徒の成果物を発表するイベントを開催します。これが実質的な成績評価となり、学生たちは挫折と成功を学びます。このようにHigh Tech Highは従来の学校システムが押さえ込んでしまう子供たちの好奇心を伸ばすカリキュラムになっています。

親などの従来の教育システムしか知らない大人の世代はこの教科書もない、宿題もない、知識の暗記をしないシステムを受け入れることが非常に困難で、恐怖さえ覚えると言います。High Tech Highはまだ2000年に誕生した学校で、この学校システムが成功すると証明するためにはデータが足りませんが、このようなシステムを取っているのも関わらず、大学適性試験SATや大学合格率は州の公立高校の平均を超えています。

国際高専の教育目標である『グローバルイノベーターの育成』はHigh Tech Highと同じく、AIやIoTが普及した未来の人材育成を目指した教育です。国際高専のエンジニアリングデザインの授業はHigh Tech Highの教育に類似していると言えます。チームを組み、正解が無い課題の解決に臨みます。逆に数学、化学、物理、生物等の授業は従来通りのスタイルで行っています。結局は大学受験が待っている公立高校であるHigh Tech Highと違って、国際高専は卒業後、金沢工業大学の3年次に編入が可能なので、先生たちは大学受験にこだわらない、本当に必要な知識の教育に専念することができます。研修に参加した7名はこれらの類似点・相違点をブレインストーミング形式で張り出したあと、研修時間いっぱいまで熱い議論を繰り広げていました。

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