国際高専:国際高等専門学校

文部科学省スタートアッププログラムを2023年度に開始 国際高専が起業家育成に向け

国際高専では、文部科学省の「高等専門学校スタートアップ教育環境整備事業」に選定されたことを受け、2023年度中に学生がアイデアを実用的な商品にまで具体化できるハード・ソフト環境を充実させます。

「高等専門学校スタートアップ教育環境整備事業」は、文部科学省が高専をスタートアップの教育拠点として、各地域から「ものづくり」×「AI」×「課題解決」によるイノベーションの推進を目指すものです。アントレプレナーシップ教育に取り組む国公私立高専56校に対して、高専生が自由な発想で集中して活動にチャレンジできる起業家工房(試作スペース)等の教育環境整備など、スタートアップ人材育成に資する各高専の戦略的な取り組みを支援します。補助金額は1校あたり約1億円です。

国際高専では、育成を目指す起業家像を「国際的な視野から高付加価値でイノベーティブな商品やサービスを創出できるグローバルイノベーター」と定め、2023年度中に、以下の取り組みを進めます。

  1. 「学生が自主的にものづくり・コトづくり活動をおこなうイノベーションラボの整備」
  2. 「地域社会と連携した課題解決型学習活動の充実」
  3. 「国内外の企業、教育機関との提携拡大」

3Dプリンターやレーザーカッターなどの機器が揃う白山麓キャンパスのMaker Studioでは、放課後や土日もロボット製作に没頭する学生の姿がみられる

 

起業家育成に向けた国際高専の取り組み
「ICTスタートアップアクセラレーションプログラム」について

国際高専は、サイエンスやテクノロジーを英語で学ぶ「English STEM教育」や、ユーザーの視点で問題発見解決に取り組む「エンジニアリングデザイン教育」を通して、Society5.0で新しい価値を創出できる専門知識と技術力を備えたグローバルイノベーターの輩出を目指しています。

エンジニアリングデザイン教育は、イノベーションを創出する力を「CDIO」(Conceive=考え出す→Design=設計する→Implement=実現させる →Operate=運用する)と呼ばれる世界標準の創造的な体験を通して身につける、国際高専の中心軸にある教育です。課題を発見し、解決に向けて生み出したアイデアをプロトタイプ(試作モデル)として具体化しながら、よりよい解決策を目指します。

学生たちは、日頃、授業で学ぶプログラミングや、CADを使った3Dモデリングなどのコンピュータ技術を活かして、3Dプリンターやレーザーカッターなどの機器を駆使してアイデアをカタチにしていく中で、イノベーティブな商品やサービスを創出できる力を高めています。

2年生のエンジニアリングデザインでは、白山麓キャンパスが立地する白山麓エリアの地域課題をテーマに取り組みます。白山麓キャンパス前の耕作放棄地でさつまいもの紅はるかを栽培し、「高専紅はるか」というブランド名で販売やコラボ商品の開発に取り組むほか、地元住民と連携して白山麓に飛来するアサギマダラを地域活性化に活かしたオリジナル商品も企画・製作・販売しました。

さらに、ニホンザルによる農作物被害が多いこの地域の課題に対して、AIを活用してニホンザルを画像認識し、音やドローン等で威嚇する獣害対策システムを学生が製作し、その効果を白山麓キャンパス前の紅はるか畑で検証しています。

地元住民と連携して白山麓に飛来するアサギマダラを地域活性化に活かしたオリジナル商品も企画・製作・販売を行った

 

国際高専では、こうした実績を踏まえ、2023年度、起業家育成教育を加速させます。
取り組みは次の3つです。

①学生が自主的にものづくり・コトづくり活動を行うイノベーションラボの整備
1、2年生が過ごす白山麓キャンパスと4、5年生が過ごす金沢キャンパスに、学生が自主的にものづくり・コトづくり活動を行うイノベーションラボ(起業家工房)を整備します。
 多様な商品・サービスを素早くリリースするため、ラボに、アイデアを素早くカタチにするためのデジタルファブリケーション機器を整備。実用的な品質の製品が短期間で製作できるようにします。また、学生が自主的にものづくりやアイデア創出を自主的に行う場としてワークスペースも整備します。

白山麓キャンパスでは、レーザーカッターなどアイデアを具体化するさまざまな機器が揃うMaker Studio1階)と3Dプリンターなどが置かれたプロジェクトブース(2階)を、新たにイノベーションラボと位置づけます。Tシャツやトレーナー、トートバック、タオルの綿製品へのプリントが可能なガーメントプリンターや、Tシャツプレス、スマホケースなどに印字ができるUVプリンターなど、アイデアからプロトタイプの作成までを一貫して行えるデジタルファブリケーション機器を新たに導入し、学生がCADソフトや3Dスキャナーで作成したデータから素早くプロトタイプを作成できるようにします。また産業用ドローンも導入し、獣害対策システムの実用化を進めます。

4、5年生が活動する金沢キャンパスでは、国際高専金沢校舎1階にイノベーションラボを開設します。学生はCADソフトや3Dスキャナー、モーションキャプチャー等を使ってデジタルデータを作成し、3Dプリンターやレーザー加工機を使ってプロトタイプを作成できるだけでなく、複合旋盤や大型の数値制御高速切削加工機を使って、商品としての品質を備えたものを製作できるようにします。

 製造工程の上流から下流までデジタルデータとデジタル対応した工作機器で統一することで製作物の品質の安定と工程の短期化を実現します。工期の短期化で生まれた時間は、商品・製品を市場に出した後の調査や検証など、ビジネス領域の活動に割り当てることができます。

②地域社会と連携した課題解決型学習活動の充実

国際高専では課題解決型学習活動(Project Based Learning)として「白山ろく里山活性化協議会」の協力を得ながら地域の課題解決や活性化事業を行っています。2018年に白山麓キャンパスを設置して以降、地元住民との交流も深まり、地域活性化に向けた要望やアイデアが寄せられるようにまでなってきました。さまざまなデジタルファブリケーション機器を使い、地元の特色を生かした新たな商品開発や販売を計画することで、ビジネスのプロセスや市場の特性などを実践的に学ぶことができるようにします。

③国内外の企業や教育機関との提携拡大

スタートアップへの興味関心と起業家マインドを涵養するためには、国内外のベンチャー企業や起業家、教育機関との新たな連携協定を結び、4年生を対象に開講される科目「アントレプレナーシップ」をさらに充実させます。価値創造や経営戦略といった座学や企業経営者による講演に加え、先鋭的なスタートアップ実績を持つ起業家や海外のスタートアップ事情に詳しい講師を招いての講演を実施し、スタートアップへの興味と起業家マインドの涵養をはかります。

HOMENews文部科学省スタートアッププログラムを2023年度に開始

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