4年生のエンジニアリングデザイン最終発表

2025年1月22日(水)、エンジニアリングデザインⅣの最終発表会がラーニングコモンズで行われ、学生たちが後学期の研究成果を披露しました。発表はプレゼンテーション形式で英語で行われました。発表後はQAの時間があり、視聴していた先生方から質問やアドバイスが贈られました。各研究の簡潔な紹介をいたします。

XR Display Research
泉屋 匠吾

泉屋さんはコロナ禍によって急速に普及したリモート授業・会議に注目し、その際の人間の目線を研究対象にしました。2D画面上の人間の顔は、角度が変わっても目が合っているように感じる「モナ・リザ効果」が存在し、それによって情報が正しく伝達されないと考えられます。現実世界とは違う人間の目線が視聴者に与える影響を理解し、コロナ禍が収まっても普及し続けるバーチャル環境をより自然な学習環境に近づける方法を探ります。加えて、泉屋さんは北海道で開催された国際学会IDW'24でもこの研究を発表しており、その経験についても話しました。

2D画面上の目線が与える影響について研究した泉屋 匠吾さん

⇓マネキンの頭部を3Dスキャナーで取り込み、モナ・リザ効果のデモンストレーションを行う泉屋さん。

Bee-hive Management System
木下 観

木下さんは身近な課題として、養蜂家の父が悩まされているミツバチのダニ被害を解決するべく研究を始めました。ダニによる損害は甚大で、巣箱のミツバチが全滅することもあります。発生時期が6月頃であることから、高温多湿を好むダニの発生と巣箱の気温と湿度が関係していると推察しました。養蜂で用いられるミツバチは西洋生まれなため、気温をコントロールする術はあっても日本の高い湿度には羽で換気を行う程度しか対抗手段を持っていません。そこで木下さんは巣箱を除湿するシステムを考案、その第一歩として巣箱の湿度を測定する装置を開発しました。

使用したのはRaspberry Pi、Env3センサ、Pa.HUBハブユニット、M5stackマイクロコントローラで、複数のセンサが感知した湿度をグラフで表示し、平均値が高ければ空調ファンを動かすシステムです。課題となったのはミツバチがセンサに近づくことで数値が乱れることと、現状ではPCの電源が必要不可欠なこと(ソーラーでは電力不足)などで、来年以降の研究で解決したいと考えています。

ミツバチをダニ被害から守るために除湿装置を作った木下さん

Live Motion Capture Streaming
草本 留嘉寿

草本さんは2年前にメーカースタジオVに導入されたばかりのモーションキャプチャーを利用して、ライブ動画配信サービスで3Dモデルをリアルタイムで動かすシステムの構築を目指しました。使用したソフトはOptiTrack、Motive、Unreal Engineで、草本さんの動きをモーションキャプチャーで取り込んで3Dのキャラクターを動かし、それをライブ配信します。国際高専のオリジナルキャラクター「栗原あかね」の弟という指示でAIに絵を描いてもらい、更にMeshy.aiで3Dモデル化。これをUnreal Engineに取り込みスケルトンを設定しました。その後はOBS上に様々な学校の背景を映して、バーチャル学校案内のライブ配信を試みました。

苦労した点はソフトの互換性や使用方法をほぼ独学で習得しなければならなかったことと、複数のソフトウェアを同時に起動するためマシンパワーに難があった点です。これらの対策として独自マニュアルを作成したり、背景を工夫するなどしました。今後は3Dモデルを改良し、3Dカメラを導入、チャット欄と交流できるシステムを導入したいと言います。

ED 4 Part 2
Ryuto Hashiya / Sansar Sergelen

橋谷さんとセルゲレンさんはエンジニアリングデザインIVの活動として高専ロボコンに出場しました。2024年の高専ロボコンは2台のロボットを製作し、ロボット1に投げ飛ばされたロボット2がボールや箱を回収する競技でした。2つのエリアの間には「川」があり、ロボット2はここを乗り越えて戻ってくる必要があります。複数のロボットを製作する必要があり、ロボット2は投げ飛ばされた衝撃で故障しやすいというのが特徴です。

橋谷さんとセルゲレンさんが所属するAチームは少人数なため試作機を複数作れないと判断し、あえてロボット2の練習をせず、本番機で一発勝負する決断をしました。その代わり、ロボット1は様々な投てき方法を試しながら5台の試作機を製作し、バネで強化した平衡錘投石型の機構が完成しました。投げ飛ばされたロボット2は着地の衝撃をエアバッグで吸収し、箱を回収したあとアームを伸ばして「川越え」する作戦です。しかし、やはり人数不足で時間に追われたためロボット2の調整が完璧ではなく、当日に運営より義務付けられた本体改造に対してエアバッグのサイズが大きすぎたため、本番でひっかかってしまいました。それでもその独自性とサイズの大きいロボットを飛すチャレンジ精神が評価され、「デンソー特別賞」をいただきました。最後に橋谷さんは「試作機を複数作れず、故障を恐れていきなり本番に臨んだことが敗因。来年はもっと人数が集まってくれることを期待している」と述べました。

高専ロボコンに参加した橋谷さん(左)とセルゲレンさん(右)

 

 

4年生のエンジニアリングデザイン最終発表

HOMEトピックス4年生のエンジニアリングデザイン最終発表

HOMETOPICS4年生のエンジニアリングデザイン最終発表

PAGETOP