勝方 正宗さん(5年生)インタビュー

勝方 正宗さん(5年生)インタビュー

インタビュー 勝方 正宗さん(国際理工学科5年)

インタビュアー:向井守、撮影:大脇 ジョナサン・幸介

―― 5年間一緒に過ごしてきましたけど、1年生のあどけない顔をよく覚えています。それから比べたらずいぶん立派な大人になりましたね。5年間色んな経験をしてきたと思いますけど、まず最初に白山麓キャンパスでの2年間の印象に残っていることを話してください。

勝方 1番印象に残っているのはコロナ禍です。僕らは高校生で言ったら1、2年生なので校外学習が出来なかったり、修学旅行が無くなるような状況だったけど、山の中にいたので白山麓周辺だったら遊んでも良かった。例えばネイチャー&アドベンチャーの活動で川遊びとか、白山の山登りとか、そういう自然の中のアドベンチャー系の活動ができて楽しかったのが印象に残っています。

―― 白山麓キャンパスは白山の自然に囲まれてますね。自然を活かした活動ができたのが楽しかった?

勝方 そうですね。東京にいた頃の友達に話を聞いたらなかなか出来なかったみたいで。

―― そうだね、東京のお友達はなかなかできないよね。そういう活動が寮に住みながら経験できた。白山で2年間勉強して辛かったとか、難しかったとか。でも良かったこととがで何かありますか?

難しかった「英語」

勝方 一番難しかったことで言うと英語ですね。僕中学の頃は英語が1番嫌いな科目で、逆に英語をやらなきゃいけない環境にいたら身に付くという思いで来たくらい英語が1番苦手でした。国際高専はほとんどの授業が英語じゃないですか?そもそも問題を見ても何書いてあるかわからない。その点が難しかったですね。

―― いつ頃から英語がわかるようになってきた?

勝方 3、4か月目辺りですかね…ふんわりとわかってきました。本格的にわかってきたと実感したのは2年生の後半辺りからです。

―― そっか、英語は最初は苦手だったけれど、ここに来たらやるしかないもんね?

勝方 そう、やるしかないんで。

―― じゃあやっぱり英語の授業は印象に残ってる?

勝方 1番辛かったのはバイオロジー(生物)の授業ですね。語源がラテン語だから発音を聞いてもわからないので。カナダ人のジェイソン先生は優しかったんだけど、内容が難しかったです。

―― でも単位取れたもんね?段々そうやって英語で授業することも苦にならないと。白山で2年間過ごして、君らの年からニュージーランド留学に行けたんですけれども、オタゴポリテクニクの生活はどうでしたか?

勝方 2年間白山麓にいたので、広い空間に出られて本当に楽しかったですね。現地の人と関わって話したりとか、コミュニケーションが楽しかったです。

―― ホームステイ先の家族ともうまく行きましたか?

勝方 うまく行きましたね。優しい人たちでルールも緩かったし食事も美味しかったです。元々韓国に住んでいた方たちで、炊飯器とかホットプレートもあって焼肉も食べられました。勉強も先生が優しくサポートしてくれて楽しかったです。

―― それはラッキーでしたね!あの時は行けると聞いて本当にほっとしました。最後の2年間はここ金沢で大学生のような生活をしましたね。一人暮らしはどうでしたか?

勝方 結構快適でした。目の前にスーパーがあって、みんなで遊んだりとか泊まりに来てくれたりとか。

―― 楽しかったんだね。金沢キャンパスで大学の授業を受けたりとか、専門の授業ですけれども、それはどうでしたか?

勝方 やっぱり1、2年生の時と比べると4、5年生の科目は専門的でがっつりやらないといけないことが多かったです。例えば、僕は情報系なんですけど、去年エンジニアリングデザインのプロジェクトとしてメカニックス系の内容を選んで夢考房に毎日通ってずっと金属加工する経験をしたり。そういう情報系の学生でも実際に手を動かしてメカニックスのこともがっつり学べる点が貴重な体験だったと思いました。

―― それはよかったね。悩んだこととかなかった?

勝方 あんまりないですね(笑)

―― 5年間で辛い時とかさみしい時とかありました?

勝方 辛かったのはそのエンジニアリングデザインのプロジェクトで、僕が選んだテーマに精通している教員がこの学校にいなかったからアドバイスが聞けなくて全部独学で調べて進める必要があったことです。この理解で正しいのかな?この手法で正しいのかな?という疑問をチェックできない感じちょっと大変でしたね。

―― どんなプロジェクトだったの?

勝方 去年はハイブリットロケットエンジンを作りました。だからロケットエンジンの推力を計算する数式を全部金沢工業大学の図書館にある本で調べました。

現在の卒業研究だと機械学習で株価を予測するプロジェクトをしています。それだと経済に精通している人に聞いても最初の部分しかわからないので、どうやって実際にデータを使って機械学習モデルを作るの?という話になると機械学習のモデルに詳しい人に相談しないといけなくて。だから両方の分野に精通している人じゃないと道が見えない感じで。そこが自分で勉強しなきゃいけないのが難しかったです。

―― ずばり国際高専での5年間は10点満点で言うと何点くらいでしたか?

勝方 9点くらい…辛かったことが1点ですかね。

進路はイギリス留学

―― まあ、辛いこともあるからね。1点マイナスだけれども星ここのつ!いただきました!よく頑張りましたね。次の質問は進路なんですけれども、君はどういう進路に恵まれましたか?

勝方 イギリス留学ですね。いくつかの大学に志願してグラスゴー大学を選択しました。

―― グラスゴーと言ったらスコットランドにある名門だよね?僕の知ってる限りだとアダム・スミスとか、ジェームズ・ワットとか。日本人で有名な人だとニッカウィスキーの創始者の竹鶴政孝さんもグラスゴー出てます。イギリスの中でもグラスゴー大学と言ったらトップ10に入る非常に素晴らしい学校です。写真は見ましたか?オックスフォード大学とかケンブリッジ大学とか、ああいうイギリスの凄くいい雰囲気の古いイギリスの大学です。

勝方 J・Kローリングもグラスゴー出身らしいです。

―― ハリーポッターの作者のね。本当に日本にああいう雰囲気の学校はないですよ。イギリスの学校は何百年の歴史を持っている。なんでイギリスにしたの?

勝方 去年英語研修でレスター大学(金沢工業大学の海外提携校)に行って、街の雰囲気とかも見てきて、良い環境で先生たちも優しくて。ニュージーランドやアメリカよりもイギリス系の英語のほうが慣れてると思いました。かつ弟も行っているので何かあったら弟のホストファミリーという知り合いがいる点もあったり。イギリスだったら良い環境で勉強できると思いました。

―― 最終的にそこで何の勉強をするつもりですか?

勝方 コンピューターサイエンスです。

―― イギリスは言語が違う、文化も違う。良い大学だから厳しいですよ。しっかり頑張ってください。とにかく課題がたくさんあると思います。あそこはチュータリングシステムだから先生としょっちゅうディスカッションしなきゃいけないのでサボることも許されないし、コンピューターサイエンスの勉強頑張ってください。そこを出たら将来は何がしたいの?

勝方 インヴェストメントバンクのエンジニアとして働きたいと考えています。イギリスで就職できたらいいなって思ってます。

―― それならしっかりチカラ付けて頑張らないとね。我々も卒業生の君らを見守って応援してますから。その夢があったから国際高専を選んでくれたの?

勝方 元々は母が教えてくれて。中学校の時からコンピューターサイエンスに興味があったから。そしてかつ英語の環境に身を置けるところを探していて選びました。

―― この学校は君に合っていた?

勝方 合ってましたね~。ここを選んで良かったと思ってます。

―― 中学校からここへ来て、君はどんな風に変わった?

勝方 自分で言うのは難しいんですけど、もうちょっと広い視野で物を見れるようになったのかな?前は主観的で自分だけの世界とかルールみたいな感じで動いてたんですけど、もっと周りを見て客観的な視点で物を考えたり、行動できるようになったと思います。

―― そうだね、白山麓キャンパスに来た時は先生に怒られたり戸惑ったこともあったけれど、それを乗り越えたもんね。中学校の時はイギリスの大学に行くなんて考えてなかったんじゃない?

勝方 そうですね、全然考えてなかったです。

―― 国際高専に来たら海外の大学に行くって雰囲気はありましたか?

勝方 そうですね、チャンスがあったら行きたいなっというのは思っていたけど英語がネックで、中学校の時は能力的に行けないと思ってました。

重要視したのは「楽しむこと」

―― 国際高専で英語しごかれたわね?(笑)大人になったんやね~。じゃあ、国際高専で君がここぞって1番力を入れたことは何ですか?

勝方 えーーなんですかね。具体的にポンと出てこないんですけど、やっぱり重要視したのは楽しむことですかね。プロジェクトとか英語の勉強とか、辛かったんですけど、そういう状況でいかに楽しみながら自分の興味を出してそれをやるかっていうのを結構意識していました。

―― リーダー役を進んでやる印象があります。

勝方 確かに僕は小学校の時からやりたいことがはっきりしていて、それを達成するためには自分が動いたほうがやりたいことを実行できると思っています。ニュージーランドのネイサン先生の授業でリーダーシップについて考える授業がって、ペーパーを書いたりディスカッションをしたり、そこでも影響を受けてますね。

国際高専の1年生の時にデカかったと思うのはエンジニアリングデザインと歴史の授業がめちゃめちゃ好きで、そこで先生方と色々話して、自分についての理解とか、成長できたと思います。

―― 先生も喜ぶと思います。5年間で1番嬉しかったことは何ですか?

勝方 えーなんだろう?友達をたくさん作れたことかな~?

―― たくさん友達作りましたね。もうすぐその友達と卒業ですけれども、後輩たちに伝えたいこと、送りたいメッセージはありますか?

勝方 さっきも言ったんですけど、やっぱりどんなに大変な状況でも、自分が面白くないと思っていることでもいかに自分が面白いと思える視点を見て欲しいです。そういう風になるとだいたいどんなことでも楽しんで出来るかなって思います。とにかく頭からこれキライって言うんじゃなくて、自分でそのやっていることに何か楽しいことを見つけたり、興味を見つけることが大切だと思います。

―― もうひとつ、色んな先生方にも会ったと思う。教職員に何かメッセージを残して貰えませんか?

勝方 やっぱり、まずは津田先生に色々迷惑をかけたので、担任の先生に「ありがとうございました」ですね。
めちゃくちゃ色んな先生と話して仲良くなりました。白山麓キャンパスで言うと伊藤先生とか上田先生とかお世話になって、外国人の先生だとラーニングメンターのアン先生、ライアン先生、アピラク先生が1番印象的ですね。話している時間で言ったらその先生たちが1番長いですね。

―― それ聞いたら皆さん凄く喜ぶわ!友達はたくさん出来ました?

勝方 そうですね、やっぱり5年間同じメンバーというのがあるんですけど、特に今年は金沢大学の留学生とか金沢での交流で友達がめちゃめちゃ増えて、そこで日常的に英語を喋る機会も増えました。

―― 英語もできるようになると留学生なんかと英語で交流できてよかったね。高専の友達とは5年間一緒にいたから仲は良い。色んなことがたくさん残ったね。卒業してったらなかなか俺らも会えなくなるけど、休暇で帰ってきたりしたら会いに来てください。我々は君たちが一生懸命頑張って素晴らしい人生を築くことを期待してますから。

勝方 そういえば、向井先生の授業でめちゃめちゃ印象に残っているのがパフォーミングアーツの金魚の和服を着た時の話で。

―― ニューヨークストーリーやね(笑)アンディ・ウォーホルに会えた話。ニューヨーク市長とスウェーデンのテニスプレイヤー。他の席があるのにその人らのメインテーブルに呼ばれて一緒になった。よく思い出してくれたね、感激するわ!

勝方 その話がめちゃめちゃ面白かったと思ってて。普通は入れない会場だったんだけど、特殊な方法を使ったら入れた。そういうサードドアみたいな…。

―― 君自身もここに来てから凄い前向きになっていると思います。「好きこそものの上手なれ」何かやる時は何か興味を持って好きになるということでここまで来たと思います。その精神だけは忘れないようにね。

勝方 ありがとうございました。

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