大塚 作一教授が第18回日本色彩学会論文賞を受賞。色彩学の発展に貢献する最も優秀な原著論文と認められ

大塚 作一教授が、2025年6月8日、米沢市の山形大学工学部で開催された「日本色彩学会第56回全国大会」で、第18回日本色彩学会論文賞を受賞しました。

色彩に関する国際的ジャーナル 『Color Research and Application』 Vol.49 No.6で発表された論文が、学術上とくに有益であり、色彩学の発展に貢献する最も優秀な原著論文と認められたためです。

 

第18回日本色彩学会論文賞を受賞した大塚 作一教授

第18回日本色彩学会論文賞を受賞した大塚 作一教授

授与された表彰状

授与された表彰状

 

当論文賞は、当該年度の12月までの過去1年間に、日本色彩学会誌、Color Research and Application 誌、又は、Journal of the International Colour Association 誌に掲載された最も優秀な原著論文を表彰するために日本色彩学会が定めた賞で、その著者に贈られます。

 

【受賞対象となった論文】

Color representations of normals and congenital red–green color deficiencies based on differential scaling of color-names and color-naming experiments
(色名差分の定量化法と色の直接命名法の実験に基づく一般色覚者とP/D型色弱者の色表現の比較*)

Color Research & Application, Volume 49, Issue 6, pp. 577-599 First published: 27 June 2024
https://doi.org/10.1002/col.22944

* 和文翻訳のタイトルについてはNPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)の提唱に従って意訳してあります https://cudo.jp/?page_id=8

【著者】
Minoru Ohkoba1, Tomoharu Ishikawa2, Kota Kanari3, Shoko Hira4, Sakuichi Ohtsuka 5, Miyoshi Ayama6
1.大古場稔  宇都宮大学 大学院工学研究科
2.石川智治 宇都宮大学 大学院工学研究科
3.金成宏太 宇都宮大学 大学院工学研究科
4.比良祥子 鹿児島大学 大学院理工学研究科
5.大塚作一 国際高等専門学校
6.阿山みよし 宇都宮大学オプティクス教育研究センター

【論文の概要】
人間の色覚は、異なる分光感度を持つ網膜光受容体を用いた光検出から始まる。ほとんどの人は、光視色覚を担う3種類の光受容体を持っている。 S、M、L錐体で、ピーク波長はそれぞれ約442nm、543nm、570nmである。本研究では便宜的にCNO(一般色覚者)と呼ぶことにする。

2番目に多いグループ(人種によって異なるが、男性の約4%~8%、女性の約0.2%~0.4%)は、先天性のL錐体(P型)もしくはM錐体(D型)の欠損症である。これらの結果、CNOに緑、黄、赤に見える波長を含むスペクトルの中長波長領域では識別性が低くなる。本研究では、CDO(P/D型色弱者)という用語を便宜的に用いる。

まず、我々は、従前の研究によりCDOの視覚に基づく色表現は、CNOの円形とは異なり、ほとんどが黄色と青色を両端点とするC字型の屈曲形状であることを明らかにした。

つぎに、本研究では、同一の観察者について、色名に基づく心理的な内部色表現にを調査し、視覚に基づく色表現との関係を検討した。まず、マンセルの基本色相に対応する10色の名前の組み合わせのすべてについて、5段階評価で心理的な差異を評価した。従前の視覚に基づく色表現における特徴的な違いとは対照的に、CNOとCDOとに関わらず、すべてのペアの距離は互いによく一致した。

そこで、テスト刺激を通して視覚ベースと色名ベースの表現をリンクさせるために、高彩度と中彩度のそれぞれについて10個のカラーチップに色名付けを行った。高彩度チップの場合、CDOの色名特性はCNOの色名特性と同様であった。一方、中彩度チップにおいては、CDOの実験結果はCNOよりも観察者内および観察者間のばらつきが明らかに大きかった。色名と色名差の評価を拡張した結果を用いて、2つのカラーチップ間の差を推定し、“色名差”と名づけた。個々の比較において、色分け差、色名差、色名差の間に系統的な関係は観察されなかった。個別の結果では、YR/Y/GYとG/Bのペアでは色名差が大きく、BG、B、PB、P、RPのペアではその逆であることが示唆された。

これらのことから、第一に、CDOは視覚的評価において明度差を戦略的に利用しているようであり、第二に、「青」、「緑」、「紫」、「灰色」はCNOにとっては近い色に見えるが、CDOにとって色の違いが明瞭見えていることが示唆された。

 

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