卒業生インタビュー
青木 心路さん
2018年に国際高専に入学した一期生が、2023年3月に卒業式を迎えて旅立っていきました。本日はそんなひとり、金沢工業大学ロボティクス学科3年に編入した青木 心路さんに卒業後の現状についてお話を聞きました。高専時代に飛行ロボコンでお世話になった伊藤恒平研究室に現在も所属しています。
卒業後インタビュー 青木 心路さん
インタビュアー:大脇 ジョナサン・幸介
―― 青木さんが国際高専にいた時の活動を調べました。2021年に「生態系へのジャックイン展」でサーバーサイド開発を担当、学生ビジネスアイデア・プランコンペティション「M-BIP」入選、2022年に飛行ロボコン マルチコプター部門で3位入賞など、国際高専に入学してから様々なことに取り組んできました。思えば、1年生の春からクラスメイトとサバイバルゲーム用の光線銃を自作したり、最初から最後まで色んなものを作ってましたね。
青木 ありましたね。校舎内で安全にサバイバルゲームをするためにセンサーで反応する銃。結局、完成はしませんでしたが。
「成功させれば史上初」
―― 現在はどういった活動に取り組んでいるんですか?
青木 工大の飛行ロボコンのチームで高度制御の研究を続けています。6人のメンバーで飛行ロボコンを目標に活動していて、僕個人の目標として、競技中に自動離着陸を成功させたいと思っています。
―― 競技中に、ですか?
青木 はい、去年、東京大学が競技中にチャレンジしたんですが成功しなくて、時間無制限のエキシビションで成功させたんです。今年、競技中に成功させれば史上初になります。
―― 史上初は凄いですね!成功しそうなんですか?
青木 五分五分ですね。大会が急遽9月末から8月に早まって、時間的に厳しいんですが、やらないとたぶん東京大学が出来てしまいますので。
―― ズバリ、「高度制御」を研究テーマに選んだ理由はなんですか?
青木 自然の流れ、ですね。元々、船とか空飛ぶものが好きで。船は中学生の時にお父さんにお願いして戦艦大和のドックに連れていってもらったりとか。空飛ぶものが好きなので最初は航空システム工学科に行こうと思っていたのですが、次は政治に興味が湧いたのでお父さんに相談したら、政治は本などを読んで勉強できるけど、工業は実践しないと学べないと言ってくれたので工業に進みました。そして高専の時からお世話になっている伊藤先生に付いて行ってロボティクス学科に進んだ感じですね。
先輩に教えることも。
―― 新しい研究室はどうですか?
青木 伊藤研究室は話が合います。みんな1つ上の学年か大学院生ですが、たまに高専の後輩も遊びに来ます。そういう意味では高専4、5年生の時から大学生と一緒に活動するんで、それほど変わらないですね。
―― 話が合うというのは?
青木 ロボティクス学科を選ぶ人はSF作品が好きな人が多いんで話が合うんです。メンバーも多いし、みんな専門が違うので得意分野を教え合っています。自分はプログラミングやセンサーについて勉強しているので教えてあげることもありますし、高専の飛行ロボコンの時は制御系をやっていたので、その時のカメラのコードを共有したりしました。逆に機械加工、3Dプリンター、CADについて知りたい時は教えてもらいますし、AIを専門にしている大学院生もいます。他の人が担当している制御のところを教えてもらうこともあります。

研究室での青木さん(右から2人目)
―― ズバリ、青木さんの強みとは?
青木 浅く広く、好奇心旺盛なところですかね。適度にやってある程度知識をつけたら飽きて次に行きます。最近だとブロックチェーンやディープラーニングについて勉強しています。他にもお父さんの会社のバイトで、グーグルマップとJavaScriptでヒートマップを作ってくれと言われてやったこともあります。
―― 「生態系へのジャックイン展」もお父さんの会社関係のイベントでしたね。いつかはお父さんの会社で働こうと考えているんですか?
青木 それは無いですね。美的センスは全部妹に持っていかれたので(笑)将来は無人機の制御に関わりたいですね。映画『トップガン マーヴェリック』みてかっこいいと思ったし、最近は宇宙にも興味が出てきました。
「変な学校は楽しい」
―― 最後に、国際高専の入学を考えている中学生にメッセージをお願いします。
青木 メッセージですか(笑)自分は中学校2、3年生はマレーシア、そこからこの国際高専なので、変な学校しか行ってませんので参考になるかわかりませんが、変な学校は楽しいですよ。行ってよかったと思います。寮生活もやっておいて良いと思います。一度は経験しておいたほうが良いです。
―― それは何故ですか?
青木 コミュニケーション能力が上がります。「なんだコイツ」と思う人とも会話をしないといけないので。普通の学校だったら絶対会話してない人とも生活を共にするので話さないといけない。これは社会に出る上ではとても大事だと思います。1年生の時に一緒にサバイバルゲームを製作していた勝又くんなんかは、普通の学校だったら絶対話しかけてないと思います。
「年に1回夢が変わる」
青木 あとはやっぱり「浅く広く」やることかな。やりたいことがいざ決まった時に下地があるとやりやすいんです。俺は年に1回夢が変わるんで。例えばアニメ『AKIRA』の音楽家って文化人類学と科学と音楽理論の面からあの音楽を作っているって知ってました?
―― 名言が出た気がしますね。『浅く広く。やりたいことが決まった時に下地があるとやりやすい』
青木 そうですね、それができるのが国際高専の強みだと思います。
―― 青木さん、ありがとうございました。
青木 ありがとうございました。