こんにちは、学生主事の小髙 有普です。今回は学生が地域の企画運営に参加した内容について紹介したいと思います。
2024年9月23日(月)の祝日に、本校前の畑において、アサギマダラ(※)のマーキングイベントが開催されました。
※アサギマダラとは、あさぎ色(薄い水色)をしたまだら模様の翅(はね)から名前がついた蝶々で、海を渡って数千の長距離移動をする蝶々として知られています。その移動状況調査の為、鱗粉の少ないあさぎ色の部分に日付と捕獲場所が分かるよう油性ペンでマーキングされることが行われています。フジバカマなどキク科の花を好んで集まり、その蜜に含まれている毒が繁殖や身を守るうえで用いられていると言われています。また、アニメ「鬼滅の刃」に登場するキャラクターのモデルになっているとも言われています。
昨年度のアサギマダラのマーキングイベントについてはこちら
2年の学生たちは、辰口まちづくり協議会、白山ろく里山活性化協議会、アサギマダラファンクラブが運営するイベントに協力する形で参加しました。白山麓キャンパスの前の休耕田では、アサギマダラが集まるように、フジバカマの栽培が行われています。エンジニアリングデザイン科目において、そこに飛来するアサギマダラという環境資源を活かすため、アグリビジネス班の学生たちが、今年度の4月から企画構想を始め、学生らしい視点による創造で地域活性に挑みました。
学生たちは、地域住民とそうでない方がイベントを通じて継続的に交流することを目標とし、参加するすべての人が思い出に残るように、企画運営の中に細かな工夫を凝らしました。
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Advertising at Sena Roadside Station宣伝活動(道の駅 瀬女に掲示)
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Lecture about Marking Asagimadaraマーキング講習会
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Marking Asagimadaraマーキングの様子
フォトスポットの設置
アサギマダラを見に来てくれたすべての人のために設置したフォトスポットでは、多くの人が撮影していました。学生たちが設けたフォトスポットで思い出の写真を撮っている姿を見ると嬉しく思いましたし、記念を残したい気持ちに応えることができたのではないかと思います。
小学生対象のグッズ作り
マーキングイベントへ参加した小学生たちは、午後から2年生の指導のもと、オリジナルグッズを作成しました。グッズはアサギマダラをイメージしたヘアグリップやマグネットで、小学生たちは配色や配置を工夫しながら装飾を加えて仕上げていました。
グッズ販売、ものづくり体験企画
道の駅に立ち寄り、今回のイベント情報を得てアサギマダラを観察に来られた方には、アサギマダラの生態が記された図鑑付きのキーホルダーをカプセルトイで販売しました。また、記念としてキーホルダーをレーザーカッターで制作するものづくり体験教室を実施するなど、国際高専生ならではの企画を試みました。
学生たちは地域住民と交流人口の関わり方について考え企画を実施しました。その後の学生たちの振り返りでは、次の開催がより充実した企画となるための意見が多くありました。次の年に引き継ぐ学生たちは今回の意見を汲み取り、さらに充実したイベント開催が期待できます。
今年は暑さの影響か、アサギマダラの飛来数はとても少ないものでしたが、来年は多くのアサギマダラが飛来することを願っています。
小髙 有普
こんにちは。白山麓キャンパスで英語科目担当のイアン・スティーブンソンです。
2024年10月24日(木)、白山麓キャンパスでの恒例行事となる「ジャック・オー・ランタン」作りを開催しました。今年は天候と野生猿の影響により、私の庭でパンプキンを収穫することができなかったので、今年のジャック・オー・ランタンは全てペーパーマシェと呼ばれる紙粘土の素材を使って製作することになりました。
ペーパーマシェ作りに興味がある方はこちらのリンクをご覧ください。
白山麓ジャーナル「November 19, 2022 Making Jack-o’-lantern」
1年生の万江 琴莉さん、中澤 円香さん、伊藤 綾音さん、村山 毅さん、そしてラーニングメンターのシャーデー・モーア先生がそれぞれのジャック・オー・ランタンをつくり、仕上がったジャック・オー・ランタンの中にライトを入れ、校舎の向こう側にある「道の駅 瀬女」から見える位置に吊るしました。中澤さんは牙を切り出して星の目をしたモンスターを作り、シャーデー先生はサンリオキャラクターのシナモロール、万江さんは緑の髪の毛のジャック・オー・ランタン、伊藤さんは「カボカボ」というオリジナルのパンプキンキャラクター、村山さんのパンプキンはコウモリへと姿を変えました。
製作過程はこちらのリンクをご覧ください。
@ictkanazawa 白山麓キャンパス(1、2年生)でジャック・オー・ランタン製作が行われました🎃🧡🧡 #国際高専 #ict #ハロウィン #Halloween #白山麓キャンパス #石川県 #kosen #kosenjapan #寮生活
♬ オリジナル楽曲 - 読み込み中... - 無理なんだが。
ジャック・オー・ランタンのデザインから始め製作過程は、みんなの笑顔と笑いで溢れるとても楽しい時間でした。余った3つのパンプキンは中にお菓子を詰め込んで、ハロウィン当日に学生たちが叩き割るメキシコ伝統のピニャータとして使用しました。ピニャータのデザインは学生たちによって投票され、結果はお化け、ピカチュウ、カメムシとなりました。
@ictkanazawa 白山麓キャンパス(1、2年生)でピニャータが行われました🪅🎃ピニャータとは、メキシコのお祝い事で有名な行事で、くす玉を叩いて割るゲームです。お菓子が飛び出す瞬間が大いに盛り上がりました🍭🍬🎃#国際高専 #高専 #石川県 #白山麓キャンパス #ict #internationalcollegeoftechnology #kosen #halloween #pinata #party #ピニャータ #仮装 #パレード #costume #funevent
♬ CRAZY - LE SSERAFIM
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Me and Ayane私と伊藤 綾音さん
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Kotori万江 琴莉さん
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Madoka中澤 円香さん
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Sade senseiシャーデー・モーア先生
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Takeshi村山 毅さん
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Ayane and Kabo Kabo伊藤さんとカボカボ
イアン・スティーブンソン
こんにちは、国際高専3年生の夏木 亮凪です。僕は現在、ニュージーランドのダニーデンにあるオタゴポリテクニクにて留学中です。この留学は国際高専の3年生のプログラムとなっており、毎年学生がニュージーランドでホームステイのもと、一年間生活しています。今回は僕が体験したニュージーランド留学でのホームステイ生活や放課後の過ごし方、残念な出来事についてお話していきたいと思います。
最初に、「ニュージーランドでのホームステイ生活」について話していこうと思います。自分のホームステイ先は学校から車で40分程かかる遠い場所にあります。下校の際はバスに乗るのですが、乗り換えをしなければならなく、バスの数も少ないので、夜は友達と出かけることがほとんどありません。その分、夕食後に海まで散歩するなど、ホストファミリーと過ごす時間を大切にできています。また、ホストファミリーの方も本当の親のように接してくださるため、生活習慣が崩れている際は厳しくしかっていただき、充実した生活を続けることができています。素敵なお家で健康的でおいしい料理を提供していただき、ホストファミリーには本当に感謝しています。
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I enjoy helping with the gardening.ガーデニングのお手伝いも楽しんでいます
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An individual room with a study desk and bed is provided.勉強机やベッドが備え付けの個人部屋
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I make my bed every day.ベッドメイキングは習慣になっています
次に、「放課後の過ごし方」について話していきます。僕はもともとバレーボールが大好きで、白山麓キャンパスでもよく友達とバレーをしていたのですが、ニュージーランドではキャンパスから徒歩5分にある広い体育館で、ほとんど毎日放課後にバレーをしています。日本のアニメ、「ハイキュー‼」が好きでバレーを始めた海外の学生はとても多く、自分もそのアニメが大好きなため、話が合い、今はバレーボールを通してかなりの友達ができました。また、日本に住みたくて日本語を勉強中の友人も多く、英語を勉強中の自分が日本語を教えることもあり、お互いの文化交流に繋がりとても楽しいです。さらに、友達からバレーボールの大会やクラブ活動に誘ってもらうこともあり、バレーボールを通してたくさんの交流ができ、非常に充実しています。
最後に、「留学での一番の悲劇」についてのお話をしたいと思います。これは本当に自業自得で、どうしようもないことなのですが、留学する際に見落としがちで本当に後悔することなのでぜひお読みください。ニュージーランド留学では、適応される保険が限定されています。そんな中、僕は本当にあり得ない症状にかかってしまいます。それは、虫歯です。虫歯は留学中の保険適応外で、日本では考えられないほど治療費がかかります。自分はニュージーランドに来る前、歯医者の検診をせず、最後の日本食をたらふく楽しんでいました。一応、毎日歯磨きはしていたのですが、ニュージーランドに着くと今までの虫歯が一気に解放され、悲劇は5月に始まりました。歯に痛みを感じ、ホストファミリーの行きつけの歯医者さんで見てもらうことになりました。その際、一つの歯になんと275ドル(約25,000円)かかってしまったのです。僕はこのように余計にかかってしまったお金を二度と使わないためにも、虫歯にならないように、毎食5分以内には歯磨きをしていました。ところが、これは序章にすぎませんでした。留学前までの歯への負担が大きかったのか、ここからさらに虫歯になってしまい、最終的に3,000ドル(約270,000円)ほど歯の治療費がかかることになるのです。留学に来て本当に何をしているのか、馬鹿らしくなり気を病みました。このようなことがないように、読んでいただいた方には気を付けてほしいです。今回の経験から、自分も二度と同じようなことを繰り返さないように、気を付けていきます。
来年3月までの残りの期間、ホストファミリーや友人と共に沢山の経験を重ねて、素晴らしい思い出を作りたいと思います。
夏木 亮凪
こんにちは。白山麓事務室の間加田 侑里です。11月に入り、白山麓キャンパスでは朝夕の冷え込みが肌寒く感じるようになり、冬が近づいている気配を感じます。今回は9月に行われた「九谷焼上絵付け体験」と「フラワーアレンジメント・華道教室」について紹介します。
【九谷焼上絵付け体験】
2024年9月12日(木)、小髙 有普先生主催の「九谷焼上絵付け体験」が開催されました。講師として、石川県立九谷焼技術研究所の2名をお迎えしました。
まずは講師より、九谷焼の特徴や筆の持ち方、色の種類などについての説明がありました。
その後、学生たちは事前に準備した図案を元に、角皿に鉛筆で下書きしました。学生たちが準備した図案は、海の生き物をイメージした画や富士山、鯉、兼六園の徽軫灯籠といった和をテーマにした画など、季節を感じて風情のある図案でした。
今回の絵付けは、九谷焼の中でも五採手と呼ばれる様式となっており、鉛筆で下書き後、呉須(ごす)と呼ばれる黒色の絵具で輪郭線を描き、5色の和絵具(黄、青(緑)、紺、(茶)紫、赤)を使って色を塗りました。学生たちは輪郭線を描くことや和絵具を塗ることに緊張している様子でしたが、時間が経つにつれて、手際よく楽しんで作業を進めている様子でした。
絵付けが終了した後は、焼成作業が必要となるため学生たちのもとへは、1か月後に完成品が届きました。焼成後の作品は、色彩の変化や深みが増し、九谷焼ならではの美しい仕上がりとなりました。
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Learning painting techniques from the instructor絵付け方法について講師に学ぶ
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Sketching on the square plate with a pencil角皿に鉛筆で下書き
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Drawing the outline with a black pigment called Gosu呉須(ごす)という絵具で輪郭線を描く
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Learning how to paint from the instructor講師から絵付け方法を学ぶ様子
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Painting with Japanese pigments和絵具を塗る
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Painting with Japanese pigments和絵具を塗る
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Painting was completed絵付け完了!
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Painting was completed絵付け完了!
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Painting was completed絵付け完了!
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A one-of-a-kind piece has been completed!世界に一つだけの作品が完成しました!
【フラワーアレンジメント・華道教室】
2024年9月13日(金)、宇都宮 隆子先生と黒田 譜美先生主催の「フラワーアレンジメント・華道教室」が開催されました。本校の華道講座講師の南川 和美先生をお招きしました。
まず初めに、薔薇や菊、ナンバ(唐辛子を指す方言)、レザーファンを使ったフラワーアレンジメントを行いました。南川先生からハサミの使い方や水切りの方法を教わった後、学生たちは専用のスポンジに花をぎゅっと集めて形を整えたり、ナンバを様々な角度から挿したりしながら、それぞれ思い思いの作品に仕上げました。
次に、3人1組になり、剣山と水盤を使って、ひまわり、アワ、ヒペリカン、石化柳、アリストロメリアなどを用いて本格的な華道に挑戦しました。学生たちは南川先生のお手本を参考にしながら、まっすぐな葉に穴を空けて、くるっと曲げてカーブをつけたり、水面に花を散らしたりして、花や葉の個性を引き出しながら、華やかな世界観を表現した作品に仕上げました。
学生たちの作品は、白山麓キャンパスの玄関や共有スペースに展示され、校内は華やかな雰囲気となりました。
間加田 侑里
「しかし人間は自然の一部であり、自然に対する戦いは必然的に自分自身に対する戦いでもある。」
― レイチェル・カーソン
(1960年代に環境問題を告発したアメリカの生物学者)
こんにちは、STEM科目担当のガトリ・ドーサフです。
私が教員として主に焦点を置くことの一つに、学生たちの特定のトピックへの興味を育てるということがあります。そのためには、学生の生活や将来に直接関わるテーマを扱うことが重要になります。
学生たちが選択授業で生物か、それとも別の授業かを選ぶことができると知ったとき、私は課題の半分が達成したと感じました。私の授業に参加する学生はすでに、私の教える生物の授業に興味を持っているからです。残りの課題は、この貴重な機会を活かして、21世紀に私たちが直面する大きな課題について、若くて優れた学生たちに興味を持ってもらうことです。
環境問題が深刻な状況であることは既に知られています。環境科学は、学際的であり広範囲な科目です。広範囲なことが、環境科学を複雑に思える要因にもなりますが、同時に科学の希望にもなり得るのです。歴史は、実際に人類が協力すれば大きな課題も克服できることを証明しています。それではこの生物の授業で取り組んだ学習について紹介していきたいと思います。
希望は解決策の一部
環境問題について懸念すべき理由は数多くありますが、それは解決へ向けての希望がすべて失われたというわけではありません。授業の中で学生たちは、人間の知恵や工夫によって環境問題を軽減することが可能であるということを学びました。そして、地球という唯一の「Home・故郷」を守りながら、人間のニーズを満たせるような例や革新的なアイデアについて話し合いました。授業で取り上げた解決策の一部は次のとおりです。
・マイクログリッドを使用した分散型エネルギーシステム
・交通に関連する温室効果ガス排出量を削減するための自動運転車のシェアリング
・産業的畜産とは対照的な放牧動物のシステム
・海藻を使った海洋の循環を復元する
問題を理解することは解決への第一歩
授業の中で説明した概念を理解しやすくするために、さまざまなアクティビティと実験を行いました。
その中の1つは、「The Tragedy of the Commons」の概念を学ぶための漁業ゲームです。このアクティビティでは、学生たちは架空の村の住人となり、魚を捕まえるために競い合います。魚の種類ごとに値札が設定されており、ゲームの勝者は、村で一番裕福な人になることができるというゲームです。
ゲームの進め方は以下の通りです。学生たちは30秒のターンを4回行い、それぞれ1ターンを漁期とします。各ターンで、ストロー2本にテープをつけた道具を使って魚を釣り上げます。ゲームを続けるためには、各ターンで最低でも500円稼がなければなりません。また、各ターン終了時に、残った魚のペアがそれぞれ2匹の子孫を生むことになります。
予想通り、最もお金を稼ごうと考えた学生たちは、最初のターンで魚をすべて釣り上げてしまいました。この結果、ゲームを続けて勝つためには、持続可能な戦略を考え、次の漁期にも十分な魚が残るようにすることが重要だと気付きました。この気付きを基に、ゲームをリセットし、1ターンからゲームをやり直し、今度は学生たちが協力して自然資源を継続することに取り組みました。環境に配慮した方法でゲームに挑むことで、学生たちは経済的にもより豊かなお金を得ることができました。
もう一つの重要な実験は、土壌塩類化実験です。学生たちは、さまざまな塩分濃度で緑豆の成長を観察しました。実験の結果から、塩分が植物や食料源に悪影響を及ぼすことが明らかとなりました。
また、生物多様性の減少の問題とそれが生態系に与える影響について理解するために、分類学(動植物の科学名のつくもの)と生態学(生物とその環境との相互作用)の研究について学びました。分類学の授業では、顕微鏡を用いて、色々な動物や植物を観察しました。生態学の授業では、教室で食物連鎖のアクティビティが行われました。このアクティビティでは、特定の栄養レベルの動物を選び黒板に貼り、協力して食物連鎖を作り上げなければなりませんでした。
科学的方法は解決への確かな方法です
学生たちは科学的手法を用いて、自分たちが選んださまざまな場所の空気の質をテストするための実験設計についてブレインストーミングを行いました。そして定性的および定量的データを話し合いました。これは、学生たちがさまざまな種類の大気汚染物質とその発生源について学ぶだけでなく、科学的手法や科学用語に慣れることにも役立ちました。
学生たち、そして私も、充実した学びでした。後学期では、最も差し迫った環境問題である気候変動に焦点を当て学んでいきます。
ガトリ・ドーサフ