こんにちは。エンジニアリングデザインⅡ(2年生)を担当している小髙 有普です。本校では、地域と連携した実践的な学びを重視しています。エンジニアリングデザインⅡでは、地域の農業課題に取り組みながら、技術とビジネスの両面から解決策を考える授業を行っています。テック班は芋を守るための獣害対策を技術的に支援し、ビジネス班は守られた芋を地域ブランド芋として販売することで地域活性化を目指します。

 この授業で学生たちに求められることは、現状を正しく理解をしたうえで、地域活性の新たな方法を見出し、実現するための設計目的を持つことです。そのため、この地域で栽培する意味や効果、栽培に必要なものや労力などを多角的に理解する必要があります。そこでまずはクラス全員で、畝作り、植え付け、獣害対策用の電気柵設置を行いました。
2025年5月26日 鹿田校長先生のジャーナル「紅はるか苗植え」

 今年は4月半ばにもかかわらず、畑には50センチ以上の雪が残っており、気温も上がらず、苗を植えることは難しい状況でしたが、奇跡の長雨により雪が解け、注文していた苗の納品時期に植え付けができました。しかし、今年の春の気温は10度前半で寒く、発根、成長には適温ではなく、苗は元気がない状況で心配しました。5月に入り、ようやく気温も上昇し始め苗の成長が見られるようになり、ほっとしました。

 苗が活着した後も時々苗の様子を見に行っていたのですが、今年は苗が抜けているという事態が起こっていました。ネットで調べたところ、植え付け直後の苗は、カラスにとって格好の餌となるとのことが事例として挙げられており、本校の畑も同じことが起こっているのかもしれません。また、ワイヤーメッシュをポールに結束するための針金に電気柵が引っかかって弛んでいる状況もありました。来年は植え付け後に畑で何が起こっているのか、カメラを設置し注意深く観察する必要がありそうです。今年も芋販売をしますので、とびきり甘い高専紅はるかをご堪能ください。

小髙 有普

 夏といえば虫の季節。冬でもカメムシに出会えるこの白山麓キャンパスですが、やはり夏の虫は別格です。よね?
 こんにちは。つついです。6月末、地区のコミュニティセンターが主催する白嶺小学生の放課後活動に、本学の学生と一緒に参加してきました。

 授業が3限で終わる水曜日の放課後、2年の中澤 円香さん、1年の大澤 凱さん、坂井 麗央さん、樋口 洸太朗さんの4名が、キャンパスから車で3分ほどの所にある小中学校裏の森で、地域の子どもたちと虫とり交流を楽しみました。大澤さんはMy網持参です。
 私たちが到着したときには、低学年の子どもたちが元気いっぱいに虫とりの真っ最中で森はにぎやかな声に包まれていました。しばらくして高学年の子どもたちが合流し、全員で虫とりがはじまると、森はさらににぎやかになりました。
 「虫とり」といえば、網を手にチョウやトンボを追いかけたり、木にとまったセミやクワガタ、跳ねるバッタやコオロギをつかまえたりする、そんなイメージがありませんか。ところが、低学年の子どもたちが見つけるのは、葉っぱや枝にひっそりと潜んでいる小さな虫たち。「ここにいるよ!」と虫の居場所を指さしてくれるのですが、あまりにも小さく、葉の色に同化しているうえに、最近は老眼もあってなかなか見つけられません。そんな私には見えない虫を、子どもたちは、はさみの先にカプセルのついた道具を使って確実につかまえていきます。
 初夏という季節柄、虫たちもまだ成長途中なのかもしれません。でも、彼らにとってはどんなに小さな虫でも立派な「虫」。見つけた瞬間の歓声とキラキラした目がとても印象的でした。
 この日、子どもたちがつかまえたのは、小さな虫たちのほか、バッタ、コオロギ、クワガタ、テントウムシ、ダンゴムシ、ナナフシ・・・そしてなんとカエルまで!

 虫とりのあとは、学生たち手作りの虫クイズで盛り上がりました。虫とりに参加している子どもたちはさすがの知識量。難問にも次々と正解していました。

 本校の学生たちは、それぞれの関わり方で子どもたちとの交流を楽しんでいました。普段キャンパスから眺めている空や森が、きっと、いつもとは違って見えたことでしょう。
 白山麓キャンパスは自然に囲まれていますが、平日は校舎内での学びが中心で、自然や地域の人たちとふれあう時間はそれほどないのが現実です。加えて交通の便がよくないため、休日に気軽に白山麓を散策するということも難しい環境にあります。
 今回、短い時間でしたが、学生たちは地域社会の一員であるという自覚が持て、「本当の自然」を肌で感じる体験ができたのではないかと感じています。

 虫とりから3か月が過ぎ、あの小さな虫たちは大きくなったのでしょうか……。今なら、私の目でも見えるかもしれません。

つつい まさこ

 芭蕉は、350年ほど前の7月13日に『 閑さや 岩にしみ入る 蝉の声 』と詠んだそうですが、今年の夏は温暖化の影響で、7月に入っても蝉が鳴かないと各地でニュースになっていました。そこから一か月、日本はまだまだ厳しい暑さかと思います。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。地球の反対側から、国際理工学科3年の鴨下 麟太郎です。ニュージーランドに住む我々の生活は、そんな日本とは非常に対照的で、暖炉にて薪を燃やし、寒さをしのぐ毎日です。今回は、そんなニュージーランドの日常の中でも、国際高専サブカルチャー担当の僕の、非日常な日常を紹介していこうと思います。


みなさんがそうでないことは重々承知ですが、基本的に、僕の一日は数学の問題を解くことに始まり、数学の問題を解くことで終わります。国際高専にいるうちは、ロボコン(それが理由の大半ですが)や課題に追われ、祝日にしか解く時間はありませんでした。しかし、ニュージーランドに来ると、生活は一変しました。端的に言えば、一日に24時間を超える自由時間を手に入れることができたのです。これにより、夜、大体2~3時間ほど数学の勉強をして、それ関連の問題を1問選び、その問題を次の日の朝に解くという、どこかにありそうな勉強法のような生活を送れるようになったのです。ニュージーランドに着いてから、生活の中で数学のことを考えられる時間というのはすごく増えました。休日によくオタゴポリテクニクに行き、ホワイトボードに問題と解答プロセスを記載し、残したまま帰るという、さながらホームズの『踊る人形』のような形で、数学好きにのみ伝わる暗号を作っていたのですが、つい先日、数学の先生がその問題を見たようで、その話で盛り上がることができました。数学は言語だという人もいますが、まさに数学という言語で、コミュニケーションの漸近線を越えた瞬間でした。

 サブカル担当と言っておきながら、ここまで数学の話しかしていないので、ここからは僕のダニーデンでのカードゲームライフについてご紹介していきます。
まず初めに、ニュージーランドにはカードをバラ売りしているお店がありません。「知らねぇよ」と思うかもしれませんが、これはカードゲーマーにとっては、死刑宣告に限りなく近い事実なのです。そのうえ、ダニーデンにはカードショップが1つしかありません。そのため、僕は5歳の頃から数えて、おそらく初めて、「カードゲームをしない月」を3か月過ごすことになります。
 しかし、7月中旬、転機は訪れます。ある土曜日のことでした。その日はスケートをしに、友人と南部のスケートリンクに遊びに行っていました。その帰り道、たまたま見かけたそのカードショップの看板が、日本の有名なキャラクターだったのです。思わず目に留め、中に入ってそのカードゲームの商品を物色していると、店主さんが僕に話しかけてきてくれました。店主さんと話していると、毎週日曜日に大会が行われていることを教えてくれました。翌日、友人と共にその大会に参加し、人生初のカードゲーム国際交流ができました。
 そこで、一つ驚きの事実が発覚しました。ニュージーランド人は、基本的に自由で、日本人とはベクトルの違う、言うなれば、「海外の人」の雰囲気がありますが、カードゲームコミュニティは、日本と全く変わりませんでした。周りと比べ強すぎるデッキを使えば嫌がられ、事故(運が悪く、目に見えて負けていること)った人には攻撃しないでおこうというような配慮などが見られ、インターネットでしばしば見かける、日本人と発言一致な「海外ニキ」は、日本人の仕込みではないことが分かりました。

 ここまで、僕のニュージーランド生活についてお話してきましたが、最後に、このジャーナルを読んでいる白山麓キャンパスの学生や、入学を考えている中学生に向けて、メッセージを伝えて終わりにしたいと思います。このジャーナルを通して、僕が伝えたいのは、「英語能力は問われない」ということです。…盛りました。「コミュニケーション能力の方が重要だ」ということです。
 僕は、電子ゲームやスポーツなど、人とつながれる定番の趣味を持っていません。しかも、若者と喋るのが好きではないという最悪のハンデを抱えています。それでも、日本で培った、先生と喋る技術とカードゲームで喋る技術で戦うことができています。この二つは、僕の言葉に耳を傾けてくれる瞬間が、自動的に訪れるという、すごくありがたい性質を持っています。みなさんもニュージーランドに来る前に、ニュージーランドでどうやって英語のコミュニケーションを取るかの戦略は立てた方がいいと思います。僕は日本人の家にホームステイしていて、英語を日常的には用いらないのですが、他の学生と比べても、英語に触れる頻度は変わりません。これは戦略勝ちとしか言いようがないです。ダニーデンは間違いなく、素晴らしい環境です。だからこそ、日本に帰りたいという欲望と見知らぬ天井との苦闘ではなく、「自分の成長の場」として捉えてほしいと思っています。

P.S. 信州人なので、本当は小林一茶にしたかったです。

鴨下 麟太郎

       こんにちは。3年の中澤 琉月です。現在、ニュージーランドは真冬で、日本の1月ごろと同じような寒さを感じます。そのため、外ではダウンなどの上着が欠かせません。今回は、そんなニュージーランドでの私の日常を少しご紹介します。
 私が滞在しているホームステイ先には、ホストマザー、ホストファザー、同年代のホストシスター2人がいます。滞在当初はハウスメイトが2人いましたが、そのうちの1人は最近帰国しました。そのハウスメイトとは共通点が多く、短い間でもとても仲良くなることができました。ホストファミリーとは毎日たくさん話すわけではありませんが、みんなユーモアがあって、リビングで一緒に過ごしているだけで思わず笑ってしまうようなことがよく起こります。また、家には大型犬が1匹いて、よく一緒に遊んでいます。

 

ホストファミリーが飼っている犬

My host family‘s dogホストファミリーが飼っている犬

 家は少し高台にあり、リビングからは海まで見渡せる広大な景色を楽しめます。オーロラが出た夜にはベランダからその幻想的な光景を一望することもできました。さらに、ダンスフロアが敷かれたガレージや電子ピアノもあり、自分の趣味であるダンスやピアノを存分に楽しめる、まさに私にぴったりな環境です。

The aurora seen from the balconyベランダから見えたオーロラ

 こちらでの授業数は1・2年のときよりも少なく休日も多いため、より自由な時間が増えました。そのおかげで、ピアノやダンス、絵などの趣味にたっぷりと取り組めています。ダンスについては、オタゴポリテクニク内のクラブにも入り、毎週のレッスンでスキルを磨いています。ほかにもAIについてのオンラインコースを受講するなど、自分の興味を深めることにも時間を使うようにしています。

 また、自然豊かなニュージーランドならではの楽しみとして、トレッキングにもよく出かけています。ダニーデンには行政が整備したコースが多く、市のサイトを見て場所を選んでいます。場所によって異なる景色や日本では見かけない植物に出会え、とても面白いです。犬好きの私にとって、道で出会う散歩中の犬たちも癒しの存在です。

 穏やかで充実した日々を送る一方で、悩みもあります。それは英語力、特にスピーキングについてです。英語に囲まれた環境には慣れてきたものの、自信のなさから自分から話すことにまだ苦手意識があります。

 留学生活も3分の1が過ぎました。ホストファミリーに囲まれた温かい環境と、自由に使える時間を活かして、これからも少しずつ挑戦を重ね、自分の成長につなげていきたいと思います。

中澤 琉月

 こんにちは。ハヤト・オガワです。白山麓キャンパスで、エンジニアリングデザインⅡA(2年生)とコンピュータスキルズⅡA(2年生)の授業を教えています。AIや未来をテーマにした映画が好きな私にとって、1968年公開の映画「2001年宇宙の旅」(原題:2001: A Space Odyssey)のような作品では、テクノロジーがどのように想像され、そして時に脅威として描かれている様子を見ることはとても興味深いです。AIをただ恐れるのではなく、その仕組みを理解し、責任を持って制御する方法を一緒に学んでみませんか。

 JetBotプロジェクトが2年生のコンピュータースキルズの授業に導入されてから数年が経ちましたが、この実践的な活動はICTのカリキュラムの重要な一部となっています。時間が経つ中で、ハードウェアの故障や操作中の落下事故により、いくつかのJetBot が使えなくなることもありましたが、このプロジェクトは今でもロボティクスと人工知能の学びとして貴重な体験となっています。

実践を通じて学ぶ:Pythonから衝突回避まで

 NVIDIA Jetson Nanoマイクロコンピューターを基盤とするJetBotプラットフォームは、学生がAIを活用したロボティクスの実践的な学びの入門に適しています。学生はまず、ロボットを制御するための基本的なPythonプログラミングを学び、次に画像収集を通じてデータセットを作成し、最終的に衝突回避モデルの開発に取り組みます。搭載されたカメラを活用しながら、各学生は自分のJetBotを障害物コースで安全に走行させるための訓練を行い、理論的な知識と実践的なスキルの両方を応用して、データセットやモデルの品質が動作にどのような影響を与えるかを理解していきます。

 この活動は、長年にわたり学生たちのAIやロボティクスに対する理解を深めるだけでなく、高品質なデータの重要性、慎重に問題を解決する力、そしてシステムの信頼性の大切さについても学ぶきっかけになっています。こうしたスキルは、将来エンジニアリングやテクノロジーの分野で活躍するうえで不可欠なものです。AI技術が主流になりつつある今、将来的に、自動運転車などの分野で働く学生も出てくるかもしれません。そうした分野では、精度やデータの完全性が実際の社会に直接影響を与えるのです。

挑戦を乗り越え、成長へとつなげる

 JetBotの公式ドキュメントやプログラミング教材は大学レベルの英語で書かれているため、それを理解するために英語力が必要なことが課題となっています。しかし、教員とラーニングメンターによる継続的なサポートと指導により、学生たちは言語の壁を乗り越えながら、技術・学術的なスキルの両方を身につけています。

 一部のJetBotsは修理が必要とある場面もありましたが、どの出来事も貴重な学びの機会となり、実際のハードウェアを扱うことの現場を体験することにつながりました。このJetBotプロジェクトは、プログラミング、人工知能、そして実践的なトラブル対応力を融合させた、実践的かつ学際的な教育プログラムとして、進化を続けています。ICTは、学生たちが現代の技術社会で活躍できるよう、確かな力を育む取り組みをこれからも続けていきます。

ハヤト・オガワ

HOME学生生活ICTジャーナル

PAGETOP