高専ロボコン指導教員の林道大です。毎年学生たちが参加している「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)」の東海北陸地区大会に、今年も金沢キャンパスからAチーム4名、白山麓キャンパスからBチーム8名の総勢12名の学生と一緒に参加してきました。高専ロボコンは毎年テーマが異なるので、毎回新しいロボットを設計・製作し、4月中旬のテーマ発表から10月の初旬の地区大会の開催までにロボットを完成させなければなりません。今年のテーマは「Great High Gate」で、ロボットが段ボール製のボックスを積み上げてゲートを作り、そこを選手が乗った台車をロボットがひいて通過するというものです。ゲートの高さが高いほど高得点が得られます。

 

 それでは、各チームのメンバーとロボットについて紹介したいと思います。Aチームは金沢キャンパスで学ぶ4年生が4名です。チーム名は「香箱倶楽部」といいます。金沢名産のコウバコガニを模したロボットで、選手があらかじめボックスを高く積んで完成させたゲートを目的の場所まで運びます。リーダーは太田晴喜さん、操縦者は白石春翔さん、台車に乗るのは大石意丸さん、ピットが佐野獅悠さんです。大会を終えた感想を聞きました。

■太田 晴喜さん
 夏休み中に自動車運転免許を取得するために実家に帰っていました。その間、ロボット製作をほとんど手伝えなくて申し訳ありません。免許は取得できたので、後学期になってからはロボットに関わることができる時間も多くなり、チームの勝利に少しは貢献できたと思います。

 

 

■白石 春翔さん
 試合では緊張してロボットの操縦が少しぎこちなくなった場面もあったけれど、1試合目では目標の点数を取って勝利することができて良かったです。全国大会にも推薦され、まだまだロボコンは終わっていないので、継続して一生懸命に取り組んでいきたいです。

 

 

■大石 意丸さん
 大会ではコウバコガニを取り扱う鮮魚店の店員のコスプレをして台車に乗りました。ロボットの設計や組み立ては得意ではないのですが、軽い体重とスレンダーな体型は、ロボットが引っ張りやすかったり、ゲートを通過しやすかったりして、チームの役に立てたと思います。エキシビションで観客に手を振ったのは私です。

 

 

■佐野 獅悠さん
 ロボットの部品製作や組み立てを担当しました。大会ではロボットの破損や動作不良など無く、順調に動作したので良かったです。地区大会の試合終了後にそれまでの疲れが出て、ピットで居眠りしてしまったのをNHKのTVカメラに撮られました。TV放送するときに使われるのですかね。

 

 

 

 大会では予選リーグ1勝1敗で敗退しましたが、ロボットのゲート搬送機能が評価されて「技術賞」を受賞し、審査員推薦により全国大会への出場権を得ることができました。全国大会でも頑張って欲しいと思います。

 

 Bチームは白山麓キャンパスの1、2年生です。チーム名は「はこ坊」です。港湾施設で荷役作業にあたるコンテナクレーンの機構を模したロボットです。外観も黒黄のトラマークや、赤色回転灯などで装飾されていて、働くクルマらしさが表現されています。ボックスの持ち上げ、積み上げもコンテナクレーンのように開閉するハンドと伸縮するアームで行います。地区大会は規定の8名での参加でしたが、キャンパスでのロボット製作や練習時には総勢11名の学生で活動しています。選手に選抜されなくても、裏方で支える「縁の下の力持ち」はどんなチームにも必要だと思います。チームリーダーでロボット操縦者の石原田 海秀さんと、縁の下の力持ち代表の寺嶋 明さんに、大会を終えた感想を聞きました。

■石原田 海秀さん
 今年は、これまでの活動での反省をいかして、チームの雰囲気を良い状態に保ちながら活動することがきました。その結果、例年よりも早くロボットが完成して、練習をたくさんすることができました。そのため、今年の試合では去年ほど緊張することなくフィールドに立つことができました。それが良い結果(ベスト4)につながったと思います。来年以降も仲間と共に頑張って行きたいです。

 

 

■寺嶋 明さん
 今年は、応援団での地区大会参加になってしまい、少し悔しい部分もありましたが、応援しながら他校のロボットもたくさん観察することができて、良い経験になりました。来年以降に向けて、その経験を活かしながら、たくさんのことを学んでいきたいと思います。

 

 

 

 

 大会では2勝無敗で予選リーグを通過して、決勝トーナメントへ進みました。決勝トーナメントでも勝利を続けることができたのですが、準決勝で優勝したチームに惜敗して、結果はベスト4となりました。ロボットの動作そのものは全く問題無く、全ての試合で安定していました。ロボットの操縦はとても緊張すると思いますが、担当した石原田さんも試合の緊張感のなかでミスなく操縦できていたのは、事前の練習の成果だと思います。
 今年は、両チームとも比較的早い時期にロボットを動作させることができ、試合形式での練習を何度も行うことができました。練習の中で明らかになった問題点を、ロボットの改良や戦略の変更などで解決していくことができたと思います。その手法は、エンジニアリングデザインにおける製品開発手法とも共通する部分が多くありますので、授業での取り組みにも役立てられるのではないかと考えています。

キャンパスでロボットの調整をする2年生と見守る1年生(Bチーム)

キャンパスでロボットの調整をする2年生と見守る1年生(Bチーム)

去年のユニフォームを着てロボットを調整する2年生(Bチーム)

去年のユニフォームを着てロボットを調整する2年生(Bチーム)

タイヤについた汚れを取り除く1年生

タイヤについた汚れを取り除く1年生

正面玄関ホームで練習するAチーム

正面玄関ホームで練習するAチーム

勝利チームインタビューを受けるAチーム

勝利チームインタビューを受けるAチーム

ちょっとお疲れの様子のAチーム

ちょっとお疲れの様子のAチーム

がんばったBチーム

がんばったBチーム

大会終了後に関係者に囲まれる校長先生  

大会終了後に関係者に囲まれる校長先生

 

【高専ロボコンとは】
「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)」は、1988年から始まった、若い人たちに既成概念にとらわれず「自らの頭で考え、自らの手でロボットを作る」ことの面白さを体験してもらい、発想する事の大切さ、物作りの素晴らしさを共有してもらう全国規模の教育イベントです。全国の高専学生が、毎年異なる競技課題に対し、アイデアを駆使してロボットを製作し、競技を通じてその成果を競うもので、発想力と独創力を合言葉に毎年開催され、2025年で38回目を迎えました。

【NHKロボコン 東海北陸地区大会】
NHK総合テレビジョン11月8日(土)午前10:40~
※NHK ONEでもご覧いだだけます。
https://www.web.nhk/tv/an/robocon/pl/series-tep-J8Y25YN2QG/ep/8ZV3KYQ55G

STEMフェア2025について

 みなさん、こんにちは。物理科目を担当している伊藤 周です。今回は、毎年恒例の「STEMフェア2025」についてお話しします。
 STEMフェアは、国際高専の夏休み課題「Summer STEM Project」の成果を発表する場で、毎年9月下旬に開催されています。簡単に言えば、夏の自由研究の発表会です。テーマは学生が自由に決めますが、今年は特に1年生のアイデアがとてもユニークで、これまでにないテーマがたくさんありました。国際高専が始まって8年、STEMフェアも今回で8回目(2年生の分も合わせると15回目)になりますが、毎年新しい発想に出会えるのは本当に面白いですね。

 さらに、今年は実験や製作にすごく時間と労力をかけている学生が多かったのも印象的でした。たとえば、魚のプラスチック汚染を調べるために何十匹も釣って内臓を確認したり、身長への影響を調べるために約3,000回ジャンプしたり、アニメーションを作るために何十枚ものカットを描いたり、海洋ゴミを調べるために地元の半島を一周したり、炎天下を7km歩いたり…。
 発表自体はポスター1枚と10分ほどの説明だけですが、その裏にある努力や時間を想像すると、本当に感動します。
 個人的には、こういう「とにかくやってみた!」というプロジェクトが大好きです。たとえ科学的に完璧じゃなくても、その熱意を評価したくなります。ただ、発表としてはやっぱり図や表を使って、そこから考察をまとめることも大切なので、その点は学生たちに伝えました。
 STEMフェアは、学生の頑張りと先生方の協力で、今や白山麓キャンパスの名物イベントになりました。まだ1・2年生なので高度な研究とは言えませんが、学生たちの自由な発想や興味を形にしたプロジェクトを見るのは本当に楽しいです。これからも、このイベントを続けていきたいです。

伊藤 周


 こんにちは、3年生の安田 萱です。ダニーデン国際空港に到着してから、もう半年が経ちました。ニュージーランドでの生活にもだんだん慣れてきて、今では毎日を楽しく過ごしています。今日は、この半年間で僕の新しい日常になった生活について紹介したいと思います。

 まずはホストファミリーについてです。僕のホストファミリーは、1人暮らしの女性です。正直に言うと、ここに来る前は、家族と一緒にバーベキューをしたり、ホストブラザーと仲良くなったりして、家族の一員としていろいろなイベントを楽しむイメージを持っていました。そのため、春休みに届いたホームステイ先の情報で「2匹の犬と楽しく暮らしています!」と書かれていたときは、渡航後の生活が想像できず、不安でした。
 そんな不安を抱きながら始まった2人暮らしでのホームステイですが、実際はとても良い人で、僕にぴったりな方でした。ご飯の時間や犬の散歩、買い物などをお互いのペースに合わせて行い、自由に過ごせるところがとても心地よいです。夜ご飯を食べながらの会話も、学校や勉強の話だけでなく、仕事であった面白い話やホストファミリーがハマっているスマホゲームの話など、2人暮らしならではの会話が多く、話していてとても楽しいです。また、夕食後に「アイスが食べたくなった」と言ってドライブスルーへ連れて行ってくれたり、毎週金曜日と土曜日の夜は必ずホストファミリーの友達の家で夜ご飯を楽しんだりと、家族とのホームステイではなかなか体験できない、2人暮らしならではの生活だと思います。

 次は授業以外の時間に僕がどのように過ごしているかを紹介します。オタゴポリテクニクでの授業は、だいたい10時から15時ごろまでで、遅い日でも17時には終わります。授業後は、学校のすぐ近くにある大学の体育館によく遊びに行きます。体育館といっても、運動できるコートのほかに、ジムやビリヤード台、カフェもあり、さまざまなことを楽しむことができます。この施設は、僕が通うポリテクニックの学生だけでなく、オタゴ大学の学生や、会員になれば誰でも利用することができるため、大学生や社会人の方とも仲良くなることができます。
 また、利用者にはニュージーランド人だけでなく、韓国やシンガポール、オーストラリア、日本など、さまざまな国から来た留学生も多く、とても楽しいです。特に日本人の留学生とは、どこか安心感があり、海外という環境だからこそ生まれる、少し特別な交流ができるのも嬉しいです。ICTの友達とバドミントンやバレーボールを楽しんでいると、自然と国籍の異なる友達が混ざってくれることもあり、また自分から声をかけて一緒にバレーボールを始めたり、サーブ練習をしたりするうちに、だんだん人が集まって試合をすることもあります。周りの人たちは留学生との交流に慣れていて、知っている日本語で話そうとしてくれたり、優しく接してくれる人ばかりなので、とても楽しい時間を過ごせています。
 最近では日が長く、夜の8時を過ぎても明るいため、体育館を離れた後は友達と夜ご飯を食べに行ったり、ビーチまで走ってみたりと、放課後の時間をのびのびと楽しんでいます。

Running toward the beach at sunset 走って向かった夕暮れのビーチ

 

 こうしてニュージーランドでの生活にもすっかり慣れ、毎日があっという間に過ぎていきます。気づけば、もうすぐ期末試験の時期です。このジャーナルでは生活面ばかり書きましたが、勉強の方も頑張っていきたいと思います。

安田 萱

こんにちは。白山麓キャンパスで英語を教えているジェームス・テイラーです。

白山麓キャンパスで暮らし、働くことの素晴らしい点の一つは、周囲に豊な自然があることです。毎日色んな面白い生き物を間近で見られます。例えば、毎年9月下旬に瀬戸地域に現れる蝶のアサギマダラです。

アサギマダラ(英語名:Chestnut tiger butterfly)は面白い蝶です。なぜかというと、毎年とても長い旅をするからです。長い旅の途中で立ち寄る場所の一つが瀬戸で、白山麓キャンパスからほんの数十メートルの場所にやって来ます。

地元の方々は、蝶を呼び寄せるために、使われていない畑にフジバカマを植えています(白山麓キャンパス向かいの「道の駅 瀬女」付近)。この場所は「アサギマダラ空の駅・白山」と呼ばれていて、アサギマダラファンクラブ白山は、毎年ここでマーキング調査をしています。2025年9月27日(土)、私は息子と一緒に蝶のマーキング調査体験会に参加しました(主催:アサギマダラファンクラブ白山、尾口コミュニティセンター、白山麓里山活性化協議会)。

まず、アサギマダラファンクラブ白山の中村 明男さんのお話しを聞きました。中村さんは、蝶のライフサイクルや移動の習性について説明してくれました。また、例として自分で捕まえてマーキングしたアサギマダラを見せてくれた後、マーキングの仕方を説明・実演してくれました。

蝶は捕まえられると、死んだふりをするので、羽に文字が書きやすくなります。フェルトペンを使って、捕まえた場所(私たちの場合は「白山」)、日付(9/27)、自分の名前又はイニシャル、そして捕まえた順番を示す番号を羽の白いところに丁寧に書きます。

また、この情報を紙にも記録し、中村さんが他の地域にあるアサギマダラファンクラブとオンラインで共有できるようにします。さらに、私たちがマーキングした蝶を誰かが捕まえた場合に、連絡をもらえるように連絡先も記入します。

過去には、瀬戸でマーキングされたアサギマダラが、四国、九州、沖縄、さらには台湾でも見つけられたことがあります(瀬戸から台湾までは、2,000キロ以上も離れています!)。天候の変化により、近年は蝶の数が少なかったのですが、息子は3匹捕まえてマーキングすることができました。

その3匹の蝶たちはどこまで飛んでいくのかな。

ジェームス・テイラー

昨年度の国際高専アサギマダラマーキングイベント関連記事

プロジェクト1:ネームタグ制作

 こんにちは。白山麓キャンパスで1年生のエンジニアリングデザインを担当しているブランドン・ウォルファースです。国際高専のエンジニアリングデザインの授業では、学生たちが多様なプロジェクトに取り組みますが、デザインプロセスへの「導入」として、最初のプロジェクト「個性を表現するネームタグの制作」に挑戦しました。 

 このプロジェクトにはいくつかの条件がありました。ネームタグは着用可能であること、指定されたサイズ内に収まること、白山麓キャンパスにある3Dプリンターやレーザーカッターを使用して制作すること、そして制作者本人の特徴を視覚的に表現することが求められました。

 学生たちはアイデアの発想から始まり、プロトタイピング(試作品作り)を通じて、特徴と機能の関係性について学びました。プロジェクトの締めくくりには、英語でのプレゼンテーションを行い、クラスメートに自作のネームタグを紹介しました。

 エンジニアリングデザインの魅力は、テストやクイズとは異なり、問題解決に「唯一の正解」が存在しない点です。学生たちがそれぞれの方法で課題に取り組む様子は非常に興味深く、多くの学生が自身の趣味や好きなメディアをテーマにすることで、作品に個性を反映させていました。これは学生たちにとって初めてのデザイン体験であり、今後の成長が非常に楽しみです。

 

プロジェクト2:チームによる課題解決

 前学期の後半には、1年生はチームプロジェクトにも取り組みました。このプロジェクトの目的は、学生が日常生活を観察し、「毎日使っている中で最も不便なもの」を特定し、それに対する個人的な課題を解決する方法を考案することです。
 この活動で特に興味深いのは、学生たちが日常の中でどのような不便さを認識し、それにどう向き合うかという点です。各グループが取り組んだ課題は多様でしたが、共通して求められたのは、「対象物の使用方法の理解」「目的の機能を果たすために必要な特徴の把握」、そして「人間中心の設計の重要性」でした。
以下に、各グループの取り組みをご紹介します。

1. Ukusta(ウクスタ)

 このグループは、白山麓キャンパスのリビングコモンズにあるウクレレのための新しいスタンドの設計に挑戦しました。楽器の安定性を高めるとともに、空間の美観を向上させることを目指しました。

2. Nosepads(ノーズパッド)

 このグループは、さまざまな眼鏡やサングラスに対応できる調整可能なノーズパッドの開発に取り組みました。鼻の形状に合わせてフィットするよう設計されており、試作品はサイズの関係上、拡大モデルでの提示となりました。

3. The Tangle Terminator(タングル・ターミネーター)

 このグループは、ノートパソコンの充電ケーブルがバックパック内で絡まりやすいという問題に着目し、収納性を向上させるための整理ツールを考案しました。持ち運びの利便性を重視した設計です。

4. Magnamewash(マグネームウォッシュ)

 このグループは、白山麓キャンパスの寮にあるランドリー設備の利用状況を整理する方法を模索しました。誰がどの機械を使用しているかを簡単に把握できる、設置・使用が容易で情報伝達が明確な仕組みを目指しました。

5. Sortaro(ソルタロウ)

 このグループは、ごみの分別が複雑で時間がかかるという問題に取り組みました。日本の分別システムに慣れていない人でも使いやすく、適切に分別できる一体型のごみ箱の設計を目指しました。

6. Shampoo Guardian Project(シャンプー・ガーディアン・プロジェクト)

 このグループは、寮のシャワー室における収納スペースの不足に着目しました。シャワー中に使用するボトル類を簡単に持ち運び、アクセスできる収納ツールの開発に取り組みました。

 
 後学期に学生たちがどのようなプロジェクトに挑戦するのか、今から非常に楽しみにしています。

ブランドン・ウォルファース

 

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