こんにちは。国語科目担当の黒田です。2年生の授業で「美しいもの」を描写する課題に取り組みましたので、学生の作品をご紹介します。
まず、学生たちは下記(1)~(3)の質問に沿ってメモをとりました(実際は手書きです)。
(1)これまでに出会った「美しいもの」を書き出してください。自分が実際に触れることのできる身近なものを推奨します。
炎 線香花火 宝石 鉱物 雪 海 アクセサリー 図面 アクリルスタンド 四つ葉のクローバー
戦艦三笠 おせち うなぎ きつねうどん バスケットボール めちゃ丸い石 いい感じの木の枝…
(2)それと出会った瞬間、どのように感じましたか。五感で得たものを比喩やオノマトペを使い表現してください。
カットされたダイヤモンドのような サラサラ コン 弦のふるえが体に伝わる感じ
マットな質感 脳に電撃が走る 少し焦げた感じ 透明なお花みたいな 古びた家具のような匂い
学校にドンっと一つだけある桜の木のよう おそらく樹脂で塗り固められていてツルツルしていた…
(3)上記のメモを参考した描写文を組み入れ、かつ
――何がさて私は幸福だったのだ。
という一文で終わる物語を考えてください。
田中さんは(1)にオーロラ、アーサー王の墓、白山の紅葉などたくさん書き込んでいましたが、最終的に「ベース(ギター)」を選び、出会いの一齣を繊細に描きました。
・田中 駿太郎『ベースの前で』
伊藤さんは最初「宝石」や「王冠」を挙げていましたが、記憶を辿るうちに「祖父の家の庭で見つけた宝石のようなもの」を思い出しました。子どもと大人の文体を使い分け、大胆な構成になっています。
・伊藤 綾音『光る石』
沙魚(筆名)さんは「お台場の海」。冬の夜の海を情感豊かに綴っています。
・沙魚『海』
学生たちは記憶を手繰り寄せながら、各々の「美しいもの」を丁寧に描いていました。体験を糧として、これからも新しい物語を紡いでくれたらと思います。
黒田
こんにちは。白山麓キャンパスで英語を教えているジェームス・テイラーです。
2025年12月3日(水)に尾口コミュニティセンターに行き、毎年恒例となっている地元住民のための「イングリッシュカフェ・クリスマスパーティー」を開きました。今回は、尾口地区、吉野谷地区、白峰地区から子供17人と大人5人が参加しました。パーティーが始まる約1時間前に、ちょうどよいタイミングで今シーズン初めての雪が降りました!
例年通り、まずはクリスマスツリーの飾り付けから始めました。高学年の小学生は低学年よりも少し遅く学校が終わるため、低学年の子どもたちは先にツリーの飾り付けを終わらせ、到着した高学年の友達に見せることができました。
その後、オリジナルの「アドベントカレンダー」を作るアクティビティをしました。アドベントカレンダーとは、24個(または25個)の小さな扉に1個ずつクリスマスらしいチョコレートなどのお菓子が入っているカレンダーで、12月1日からクリスマスイブ(またはクリスマス当日)まで毎日1つずつ扉をあけて中に入っているお菓子を楽しみます。
尾口コミュニティセンターのスタッフさんたちが、イベントのために特別に用意してくださったのは、手作りできるアドベントカレンダーでした。カレンダーの扉に自分の好きなお菓子を入れられるので、子供たちは楽しそうに「どれにしようかな」と悩んでいました。
アドベントカレンダーが完成し、手を洗った後は、パンケーキのデコレーションタイムです。尾口コミュニティセンターのスタッフさんたちがイギリスのレシピを使い、数時間かけてクレープのような薄いパンケーキを焼いてくれました。参加者は、準備された色々なトッピングから好きなものを選ぶことができ、完成したパンケーキは、見た目も味もとてもよかったです!
食事中、私が9月に白峰のイングリッシュカフェで子どもたちに読んだ時にとても人気だった絵本「Five Little Monkeys Jumping on the Bed」(アイリーン・クリステロウ著)を読みました。
最後に、クリスマスがテーマのビンゴをしました。子供も大人も全員プレゼントがもらえて大満足そうでした。そしてパーティーが終わる少し前、サンタさんが「メリークリスマス」を言いに来てくれました!
今年も、イングリッシュカフェのクリスマスパーティーは参加者全員が楽しめるイベントとなりました。これは主に、尾口コミュニティセンターのスタッフである山下さんや中田さんの努力と丁寧な準備のおかげです。心から感謝します。次回のイングリッシュカフェが今から楽しみです。
ジェームス・テイラー
高専ロボコン指導教員の林道大です。「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト(高専ロボコン)」の全国大会が、2025年11月16日(日)に両国国技館で開催され、金沢キャンパスで活動している学生を中心としたAチームが出場しました。国際高専としての全国大会出場は、2022年以来の3年ぶりとなります。
高専ロボコンは毎年テーマが異なるので、毎回新しいロボットを設計・製作し、4月中旬のテーマ発表から10月の初旬の地区大会の開催までにロボットを完成させなければなりません。今年のテーマは「Great High Gate」で、段ボール製のボックスを積み上げてゲートを作り、選手が乗った台車をロボットがひいて通過するというものです。ゲートの高さが高いほど高得点が得られます。東海北陸地区大会では、国際高専チーム「香箱倶楽部」は「技術賞」を獲得し、審査員推薦により全国大会進出を果たしました。
地区大会については、こちらの記事を参照ください。
地区大会以後、全国大会へ向けてロボットの改良を行いました。まず、移動速度の高速化です。移動するためのタイヤを駆動している機構の「歯車」や「スプロケット」を交換して、約1.7倍の速度で動き回れるようにしました。次に、ボックスを挟むつめの部分も「歯車」を交換したり、制御プログラムを調整したりして、こちらも約2倍の高速化が実現できました。ところが、ロボットの動きが早くなると操縦が難しくなり、操縦の担当学生は苦労していました。金沢キャンパス内だけではなく、夢考房(学生が自由にものづくり活動に取り組めるワークスペース)にもロボットを運んで、できるだけ実戦に近い形式での練習に取り組むことで、少しずつ操作に慣れていきました。
また、全国大会の会場である国技館では、ロボットの計量計測の検査場所、テストランや試合での各ゾーンの待機場所までロボットを運ぶ必要があります。また、エレベーターなどの設備も無いため、多くの人手が必要です。そこで、昨年のロボコンに参加した5年生の先輩2名に助っ人をお願いしました。先輩たちに快諾いただき、総勢6名のチームで全国大会に参加することができました。
大会では、第1回戦で広島商船高専の「厳島(いつくしま)」と対戦し、290対10で勝利しました。次の2回戦では、明石高専の「箱積明人(すたっくめいと)」に250対375で負けてしまいました。明石高専チームはその後も勝ち進み、準決勝で優勝チームの旭川高専に負けてしまいました。
試合が終わった後は、他チームのロボットを見学に行ったり、ピットで他の高専生との交流を深めたりしました。その間もピットではトーナメントに敗退したチームが、ピットの片付けやロボットの梱包等を進めていました。最後に、選手3名が閉会式に参加しました。閉会式では、優勝や準優勝が順に表彰されていき、デザイン賞の順番になったときには、まさか自分たちが受賞できると思っていなかったらしく、かなり驚いているようでした。受賞理由は、タコやカニなどの海の生き物をモチーフとしたロボットが多くあった中で、表現の方法が良く工夫されていたことでした。ロボットの装飾や選手の服装など、細かいところまでこだわって取り組んだのが良かったと思います。また、全国大会での受賞は、金沢高専時代に「百万石ファイター」が第6回大会(1993年)で技術賞を獲得して以来、32年ぶりだそうです。
全国大会では、選手の役割が地区大会とは少し異なっていました。そこで、改めてそれぞれのメンバーにひとこと、感想を聞いてみました。
■太田 晴喜さん
全国大会では、チームリーダーとロボットの操縦を担当しました。地区大会より動きが早くなったロボットの操縦は難しかったです。1試合目で左右を間違えて少し動きがぎこちなくなったところもありましたが、大きなミスなく得点することができて良かったです。
■白石 春翔さん
全国大会では、ロボットの状況判断と動作指示を担当しました。ボックスのかげとなったり、ロボットの反対側になったりして、操縦者から見えない箇所の状況を見て判断し、ロボットがどのように動作したら良いかを操縦者に伝える役割です。地区大会では、ロボットの操縦をしていたので、その経験をもとに適切な状況判断と指示ができたと思います。
■大石 意丸さん
全国大会でも引き続き台車に乗りました。オリジナル前掛けが追加されて、市場の人のコスプレがバージョンアップしています。ゲートを周回する動きも見せられて満足しています。他校の高専チームのロボットみたいにクルクル回らずに済んで良かったです。
■佐野 獅悠さん
地区大会の地上波放送のエンディングで、仲間の勝利をフィールド外から祈っているシーンが使われた「お祈りしゆう」です。全国大会でも引き続きピットメンバーとして、ロボットのメインテナンスを担当しました。全国大会ではロボットの試運転や事前チェックをする場所や機会がほとんど無く、試合での一発勝負だったので、これまでにも増して集中して調整や点検を行いました。
■橋谷 龍斗さん
全国大会には、ピット補助として参加しました。会場内でロボットや道具を運ぶ補助をしていました。昨年の地区大会に参加した経験を活かせたと思います。大会前後に、両国の町でみんなと一緒に楽しんだ食事も良い思い出になりました。
■セルゲレン・サンサルさん
全国大会には、ピット補助とセッティングタイムでのゲート設置の担当として参加しました。背が高いことを生かして、ゲート最上部のボックスを設置することができました。両国の「焼き鳥」がおいしかったです。
来年以降も継続して高専ロボコンに参加していく予定です。先輩の様子を見て、後輩たちが自分たちも参加したいと思ってくれれば良いと考えています。
白山麓キャンパスで保健・体育科目を担当しているフィリップ・ケザウです。2025年11月8日(土)、白山麓キャンパスでは「第2回チーム対抗駅伝大会」が行われました。レースの目的は、15名で構成された各チームがキャンパス周回コース(1周約670m)を合計25周走り切ることでした。チームは学年を超えて編成され、教員も参加しました。
目標は最速でゴールすることではなく、事前に予想したタイムに最も近いタイムで完走することでした。このルールは少し複雑に感じるかもしれません。通常の「最速チームが勝ち」という形式よりも確かに複雑です。しかし、この方式を選んだ理由はいくつかあります。急激な運動による怪我のリスクを減らすこと、速くない学生へのプレッシャーを軽減すること、そして教員が「チームを遅らせてしまう」という負担感なく参加できるようにするためです。
3チームが100分を予想タイムに設定し、1チームだけが86分と予想しました。当日は天候に恵まれ、雲ひとつない青空に紅葉の色が映える最高の日でした。涼しい風が吹き、まさに秋晴れの中での開催です。全員が整列し、学年を超えたチームに分かれた後、4年生の古元 柚希さんが素晴らしいスピーチをしてくれました。このイベントは学年間の交流の機会であること、そして1年生に対して「上級生は大きくて威圧感を感じるかもしれないけれど、怖がらずに話しかけてほしい」と励ましていました。
カウントダウンの後、チームは一斉にスタート!本来はペースを予測するゲームのはずが、当日の高揚感で全員が全力疾走。最初の8周は、わずか25分で走り終えてしまいました。まだ時間は十分あるのに、みんな全力です。そこで急遽、目標タイムを調整し、最終的には「80分に最も近いチーム」が勝者というルールに変更しました。
このイベントで最も印象的だったのは、学年間の雰囲気の良さです。応援の声が飛び交い、終始楽しい空気に包まれていました。私は運動が大好きですが、走ることに苦手意識を持つ学生も多いので、このように楽しく盛り上がる雰囲気はとても嬉しかったです。
その中、イアン・スティーブンソン先生は自分の順番以外でもずっと走り続けました。学生たちの間で、「イアン先生は何周走った?」という即興のクイズも始まり、彼の走り続ける姿は観客にとって刺激になっていました。レースは続き、タスキの受け渡しごとに歓声が上がり、誰もが主役になれる瞬間がありました。残念ながら、昨年同様に足首や呼吸がしづらい症状を訴えた参加者がいましたが、その人数は昨年より少なく、自覚症状のレベルですみました。最後の周回が終わり、結果は驚くほど接戦!時計やスマホで時間を確認できない中、全チームが目標の80分以内に10分差で収まりました。
結局、タイム目標方式はゴールの瞬間の盛り上がりには欠けましたが、怪我は減り、教員の参加も増え、学生にとっても競争のプレッシャーが少ない楽しい一日になりました。来年はどうなるでしょうか?スピードを重視する「競技形式」に再び魅力を感じるかもしれません。でも、今年は素晴らしい天気と素敵な仲間に恵まれ、キャンパスが分散している中で、このようなイベントが社会的なつながりを保つために重要だと改めて感じました。
フィリップ・ケザウ
こんにちは、英語科目担当のポーリン・ベアードです。
今学期、2年生のリーディング・ライティングの授業では、学生たちが「Profile Essay」を書くために、自分にとってインスピレーションを与えてくれる人物にインタビューを行いました。家族について書いた学生も多く、メモを取りながら文章を仕上げていきました。書く過程そのものも価値あるものでしたが、最後に行われた「Writer’s Celebration」で最も重要な気づきがありました。
学生たちは、自分の作品を英語と日本語で掲示板に貼り、他の学生や教職員に披露しました。その様子を見て、私は「家族の物語を書くこと」が、学生たちが作家として、また思考する人としてのアイデンティティを育むための特別な窓(きっかけ)となることに気づきました。
また、Writer’s Celebrationを実施したことで、学生たちが英語で自然に物語を用いながら、自分の価値観を探求できることがわかりました。祖父母や両親について語る中で、共通するテーマ―「優しさ」「強靭さ」「リーダーシップ」「創造性」「感情的な強さ」―が見えてきました。ある学生は、祖父が雨の日に傘を差し出してくれたという小さな行為が、どれほど心に響いたかを語りました。これらの物語は単なる子どもの頃の思い出ではなく、世代を超えて受け継がれる教訓であり、学生自身の声で語られたものです。これを読むと、ライティングは文法や構造だけではなく、「何が大切で、なぜそれが大切なのか」を理解することでもあると改めて感じます。
発表中、学生たちは教員や他の学生たちからのコメントを誇らしげに読みました。自分の人生から生まれた文章だからこそ、彼らはその作品に強い愛着を持っていました。多くの学生が「自分は意味(価値)のある物語を語れる」という発見をし、他の学生たちも「私たちはこんなにも共通点を持っている」ということに気づきました。例えば、ある学生が母親の前向きな姿勢について書いた文章は、別の学生が父親の思いやりについて語った文章と響き合います。学生全員が互いの文章を目にする機会はそう多くありません。だからこそ、こうした共有の時間は、ライティングを皆で分かち合えるものにし、ワークシートのような問題解決学習では決して生まれない一体感を育てます。
教員にとっても、学生がどのように考え、感じ、意思決定をしているかを垣間見る貴重な機会となりました。学生が何を大切にしているのか―友情、努力、優しさ、家族―を知ることで、今後の授業づくりにも役立ちます。
Writer’s Celebrationは、単なる課題を「仲間と価値観を共有できる体験」に変えました。そのことは、学生が自分の物語を語る時、彼らは「自分は書き手である」と認識し、私たち教員も学生をより深く理解できるのです。
【Writer’s Celebration】
一般的に、執筆における成果と努力を称え、作家同士が互いに励まし合うイベントです。学生の文章を発表することで、モチベーションの維持、学びの定着、文章力向上や、仲間や学校コミュニティと喜びを共有することで達成感を高めることを目的として実施されます。
ポーリン・ベアード



































































