こんにちは。ニュージーランドに留学中の伊藤 綾音です。

留学開始からおよそ4か月が経ち、異国の地での生活も日常へと落ち着いてきました。日本はそろそろ暑さの厳しい時期になるころでしょうが、こちらは正反対の真冬に向かっています。日本の友達と連絡を取る際には、そのたびに、まるで初めて気づいたかのように真逆の季節を感じ、「遠くに来てしまったんだなあ」と実感します。しかし、このやり取りをするたびに、私はいくら日常が変わったとしても、自国に愛着を持つ生粋の日本人なのだと改めて見つめ直すことができるのです。

今回のICTジャーナルでは、私が留学中に体験したことのうちの一つである、OJSAでの出来事を紹介します。

初めに、OJSA(Otago Japanese Students' Association)とは、ダニーデンにあるオタゴ大学の日本人学生会です。定期的に日本文化に関するイベントなどを企画しており、私も友達に誘われてスケートイベントに参加しました。OJSAには、現地の日本人の方や日本文化に興味がある方など、さまざまな人が所属しています。参加費を払えば誰でも参加できるので、ICTの学生にもとてもおすすめです。英語で会話する機会も増えますし、何より大きなイベントは楽しいですからね。インスタグラムで検索すれば出てくると思うので、ぜひ参加してみてください。

参加したイベントの中で特に印象的だったのは、日本対チュニジアのサッカーワールドカップ観戦イベントです。このイベントでは、ひょんなことからOJSAの代表の方に誘っていただき、クラスメイトのことりちゃんとまどかちゃんと共に、企画者側として参加させていただきました。どうやって集客するか、イベントをどのように盛り上げるかなどの話し合いを重ね、チラシ配りやインスタグラムでの発信を経て、およそ90人の方に参加していただくことができました。

私は当日に流すサッカー日本代表の紹介プレゼンテーションと動画の制作を担当し、クラスメイトの二人と代表の方と一緒にプレゼンを行いました。これほど大勢の人の前で英語のプレゼンをするのは初めてだったので、とても緊張しました。しかし、会場は大いに盛り上がり、皆さんが楽しんでくれたようだったので、最終的には勇気を出して挑戦してよかったと思います。無事にサッカー日本代表もチュニジアに大差で勝利を収め、最高の形でイベントを終えることができました。

おわりに、私はOJSAのメンバーや友達、ホストファミリー、そして偶然出会った町の方々など、たくさんの人とのご縁に恵まれ、充実した留学生活を送ることができています。街を歩いているだけでも、ダニーデンの人々は気さくに声をかけてくれて、人と関わることの素晴らしさを改めて感じました。最近では、これまでずっと意識していた英語も徐々に自然に使えるようになり、気楽にコミュニケーションが取れるようになったことが、自分の中で特にうれしい変化です。

私の留学生活もまだまだ半分残っています。知らない土地で暮らすのは大変なこともありますが、それ以上に楽しい気づきがたくさんありました。これからどのようなことが私に訪れるのか、楽しみプラス不安もちょびっとです。

この文章が、今後ニュージーランドへ飛び立つ皆さんのご参考になれば幸いです。

ニュージーランドから、伊藤 綾音でした。

こんにちは。金沢キャンパスの「歩くスピーカー」こと、4年生の鴨下 麟太郎です。最近は活動範囲を秋葉原まで広げ、電気街をホリゾント(舞台背景)に、自慢のしゃべくり漫談を披露してきました。

AKIBA Re-ROBO FESS 2026参加報告

近頃は、専らラジオ活動に勤しんでおりますので、よろしければそちらもお聞きください。詳しくは、下記のX(旧Twitter)リンクからご覧いただけます。

国際高専の放課後ラウンジ (@ICTradio_Lounge)

さて、前置きが長くなってしまいましたが、そんな私がこの前司会を務めた「Returnee Presentations: Otago Polytechnic Study Abroad Program 2025」 についてご紹介しようと思います。こちらのイベントは、昨年度に1年間の留学を経験した全4年生が、保護者の方々や、白山麓キャンパスで学ぶ後輩へ向け、留学の思い出や、ニュージーランドにこれから行く人に伝えたいことなどをそれぞれ発表するものです。本イベントは、2026年5月20日(水)に金沢キャンパスにて、対面およびオンラインのハイブリッド形式で開催されました。

発表では、ニュージーランドのおいしい食べ物や、楽しかった旅行先、羊をはじめとする動物たちの魅力や、広大な自然の美しさなど、様々なテーマで発表する学生がいました。なかでも、ニュージーランドのおいしいお店の紹介で、韓国料理店を取り上げ、会場の笑いを誘った友達のプレゼンテーションが、僕のイチオシです。

全てのプレゼンテーションは英語で行われ、学生たちは、ニュージーランド留学で成長した英語力を披露してくれました。学生のほとんどが発音面でも大きく成長しており、改めて聞くと私自身もみんなの変化に驚きました。中には、発表中にニュージーランド訛りが憑依する学生もおり、とても雰囲気が出ていて、終始、楽しく聞いていました。
今回の発表を通して、私たちの一年間のニュージーランド留学の軌跡を、未来ある後輩たちに伝えることができ、とても有意義な時間となりました。

P.S. 「歩くスピーカー」って、完全にウォークマンのことですよね

鴨下 麟太郎

 こんにちは。デザイン&ファブリケーション部顧問の林道大です。2026年5月16日(土)に秋葉原で開催された、AKIBA Re-ROBO FESS 2026に出展してきました。
 このイベントは、一般社団法人Akiba Tech Connectが主催して今年初めて行われ、モノづくりの聖地“秋葉原”で、技術を媒介として自由に交流できる“テクノロジーの混沌の場”を創出することを理念に開催されました。大企業、ベンチャー企業、中小企業、アカデミア等、所属がさまざまな方々が一堂に会するイベントを目指しています。
 国際高等専門学校のブースでは、学校紹介と部活動であるデザイン&ファブリケーション部について説明してきました。会場が秋葉原の中心部にあり、さらに土曜日ということもあり、多くの来場者があり、大変賑わっていました。その中で「高専教育について」や、「国際高専の取り組みについて」などをプレゼンテーションしました。まだまだ一般的には「高専」という存在が充分に認知されているとはいえず、「高専って何ですか」と質問されることもありました。一方で、ロボット技術やドローン技術の関係者には、広く浸透していて、高専で学んだ学生は即戦力として、あるいは将来リーダーとなるような人材として期待されていることを実感しました。
 イベントでは展示ブースだけではなく、パフォーマンスステージが設けられており、そこでロボット動作のデモンストレーションをすることができました。持ち込んだロボットは2025年に高専ロボコン全国体会に出場した「香箱倶楽部」です。実演では段ボールが積まれたゲートをつかんで運んだり、人が乗った台車を牽引したりするデモンストレーションを実施しました。本校の学生による実演のあと、会場に来てくれていた子供たちに台車に乗ってもらい、ロボットで牽引しながらステージを一周しました。子供たちはちょっと大きめのヘルメットをかぶって、台車につかまって、ロボットに引っ張られる経験は、もちろん初めてだったと思います。最初は少し緊張していた様子も見られましたが、最後は笑顔で「おもしろかった」と話してくれました。ステージでの実演が終わった後も展示ブースまでロボットを見に来てくれて、ロボットに触ったり、ロボット中身を見たりして、説明担当の学生にさまざまな質問をしていました。
 このような体験は、将来高専生になるかもしれない子供たちにとってはもちろん、本校の学生にとっても良い経験となったのではないでしょうか。

デザイン&ファブリケーション部
顧問 林 道大

会場到着

Arriving at the event venue会場到着

展示ブース設営中

Preparing the exhibition booth展示ブース設営中

準備が終わって待機中

Ready to welcome visitors準備が終わって待機中

ロボット解説中

Introducing the robot to visitorsロボット解説中

ロボット見学中の子供たち

Children taking a close look at the robotロボット見学中の子供たち

ステージ実演で台車に乗る参加者

Children taking a close look at the robotステージ実演で台車に乗る参加者

ステージ脇でロボットの説明をする学生

Students explaining the robot beside the stageステージ脇でロボットの説明をする学生

こんにちは。国際理工学科の教員であり、エジプト出身のアラー・ホセインです。本稿では、中東のみならずアフリカでも初となる高等専門学校制度校であるエジプト・日本高専(EJ-KOSEN)の設立において、国際高専が果たしてきた貢献について紹介します。
 EJ-KOSENは、日本政府(独立行政法人国際協力機構:JICA)とエジプト・アラブ共和国政府との開発協力プロジェクトとして、2024年6月に正式に開校しました。エジプト側のパートナーには、実施機関である教育開発基金(Educational Development Fund:EDF)をはじめ、高等教育・科学研究省(Ministry of Higher Education and Scientific Research:MoHESR)、通信・情報技術省(Ministry of Communications and Information Technology:MCIT)、および教育・技術教育省(Ministry of Education and Technical Education:MoETE)が参画しています。本プロジェクトでは、高専モデルコアカリキュラムを翻訳し、エジプトの教育環境に合わせて調整したカリキュラムを用いることで、パイロット校である高専が円滑かつ効果的に運営されることを目指しています。あわせて、日本型高専教育の質を保証する指標である 国立高専教育国際標準(KOSEN International Standard:KIS)認証の取得を目標としています。

 エジプトにおける工学教育は、これまで主に二つの教育経路によって提供されてきましたが、それぞれに異なる課題を抱えています。大学教育では理論教育が中心となっており、実践的なスキルの育成や産業界との連携は比較的限定的です。そのため、卒業生は理論的な知識は十分に備えている一方で、実社会における課題解決能力や実践経験が不足しがちです。一方、技術・職業教育学校では、主に機械や設備の操作に重点が置かれています。これらの学校の卒業生は機器の操作には習熟しているものの、その背後にある理論や設計プロセス、技術開発に関する理解は十分とは言えません。こうした状況を踏まえ、エジプトでは近年、高度な技術教育や体験型教育への転換が進められています。その一環として、多くの工科系大学が新設されるとともに、世界各国の実績ある教育システムと連携したさまざまな協力プログラムが展開されています。

 こうした教育システムの一つが、日本の高専モデルです。高専モデルは、理論的知識と実践的応用をバランスよく組み合わせ、産業界のニーズを意識したカリキュラムによって構成されています。プロジェクト型学習(PBL)、課題解決型学習、探究型学習といった教育手法を取り入れることで、学生は分析的思考力と実践的な技能の双方を身に付けることができます。さらに、産業界との強固な連携を重視している点も高専教育の大きな特徴であり、学生は実社会における課題に触れる機会を通して、イノベーション創出力、設計力、そして実践的な問題解決能力を養います。このように、高専モデルは、エジプトの工学教育において長年課題とされてきた理論と実践の隔たりを埋める包括的な解決策を提供する教育モデルと言えます。

 エジプトにおける高専教育導入の構想は、2016年に行われたエジプト大統領の公式訪日を契機として始まりました。大統領はこの訪問の際、幼稚園、小学校、高等専門学校など、日本のさまざまな教育機関を視察し、とりわけ高専制度に強い関心を示しました。高専教育が、単なる技能習得にとどまらず、設計力、イノベーション力、問題解決力といった基礎的かつ高度な能力を備えたエンジニアの育成を重視している点が高く評価されたためです。この訪問を受けて、エジプト政府は、日本政府に対し、高専教育モデルをエジプトに導入するための支援を正式に要請しました。本プロジェクトは、日本側では独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じて実施され、日本国内の複数の高専から専門家が派遣されました。

 私自身や本校のナグワ・ラシィド先生も、その専門家チームの一員として本プロジェクトに参画しています。私たちが所属する国際高等専門学校は、日本国内では珍しく、主に英語による教育を実施している点に特徴があります。この点は、授業が英語で行われるEJ-KOSENの教育環境と極めて高い親和性を有しています。現在、これらの日本人専門家は、教育開発基金(Educational Development Fund:EDF)のエジプト側チーム、JICAのプロジェクトマネジメントスタッフ、そして新たに採用されたEJ-KOSENの教職員と緊密に連携しながら、教育制度の構築と運営体制の確立に取り組んでいます。国際高専の教員として、私の役割は、ナグワ先生をはじめとする日本側専門家とともに、カリキュラム支援にとどまらず、学校の理念の策定や主要な制度設計への貢献にまで及びました。特に、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーの策定においては、中心的な役割を担いました。また、STEM分野のカリキュラム設計を支援するとともに、教員の公募・選考への参画、学生募集および入学選考プロセスへの支援、さらには入学試験および入学審査制度の構築にも携わりました。

 正式開校に先立ち、2025年8月には、新たに採用された教員を対象として、エジプトにおいて約3週間にわたる集中的な研修プログラムを実施しました。本研修では、高専教育の理念および教育体系をはじめ、国立高専教育国際標準(KOSEN International Standard:KIS)枠組みについて紹介するとともに、プロジェクト型学習、課題解決型学習、探究型学習といった現代的な教育手法について指導を行いました。さらに、授業用教材の開発および改善に関する助言も行いました。この期間中、私たちは入学選考プロセスにおいても積極的な役割を果たし、学生面接への参加や、EJ-KOSEN第1期生となる新入生の選抜にも携わりました。プログラムの開校後は、私たちの役割はさらに拡大し、教員に対する継続的な学術支援、フォローアップ、ならびに専門能力向上のための支援も担っています。

 2026年1月下旬には、EJ-KOSENの教職員がさらなる研修のため来日し、大阪公立大高専、石川高専、そして私たちの金沢にある国際高等など、複数の高専を訪問しました。滞在中、参加者は国際高専の2つのキャンパスの施設を視察するとともに、併設校である金沢工業大学との連携体制について理解を深め、集中的なワークショップにも参加しました。これらのワークショップでは、初年度前期の教育プログラム全般を対象に、講義資料、実験、演習・実習、ワークシート、期末試験に至るまで、詳細なフィードバックを行いました。また、形成的評価、ポートフォリオ評価、ルーブリックの活用といった評価手法にも重点を置き、評価の明確性、一貫性、透明性を確保するための議論を行いました。さらに、私はプロジェクト型学習(PBL)に関する講義を担当し、その実施方法、評価基準、評価の透明性、ならびにエビデンスに基づく評価の考え方について解説しました。これらの研修を通じて、エジプト側教員の教育力向上を図るとともに、EJ-KOSENの教育プログラムが、国際標準に沿った高水準の教育・学習・評価を維持することを目的としています。


 こうした強固かつ発展的な協働関係を通じて、エジプト・日本高専プロジェクトは、国際的な基準を満たすだけでなく、エジプト社会が直面する喫緊の課題や産業界の変化するニーズに的確に応える、持続可能で質の高い工学教育モデルを構築するための確かな基盤を築いています。エジプトの出身者として、この取り組みの継続的な発展と成功を目の当たりにできることを心から嬉しく思います。また、本プロジェクトが、実社会の課題解決に主体的に取り組み、イノベーションを創出し、エジプトの持続可能な発展に貢献できる、有能で創造性に富んだ次世代のエンジニアを育成していくものと確信しています。


アラー・ホセイン

春の南極旅行記


 こんにちは!二年生の東 藍です。かなり遅くなりましたが、今回は僕の春休みについて話させてもらおうと思います。遅れたせいで少々季節外れですが、生暖かい目で読んでいただければと思うばかりです。

 今回の春休みは南極に行ってきました。南極にというと何を考えますか? 未開の地? その極寒であらゆる冒険家や探索隊を飲み込んできた南の最果て? 少なくとも春休みに「よし、行こう」なんて思い立っていくような旅行スポットではありませんね。何なら本業の探検家以外危険すぎて行けない場所だと思う人もいると思います。私もそうでした。でも実は、南極旅行というのは思いのほか簡単に行けます。無論、ほかの場所への旅行のほうがいろいろと行くのは簡単ですが、南極旅行や北極旅行というのは思いのほか観光産業として成り立っているのが予想外でびっくりしました。別にどっかの大学の研究チームとかに所属しないんでいいんですね。もちろん大学や観測所に詰めている方々のように南極の奥地を調査や観光できるわけでは決してないですが、それでも南極外周部にある様々な島々を訪れたり南極本土にちょっと上陸してみたりなどと意外とできることの幅は広かったです。会社によっては遊覧船から降りずただずっと船の中から南極を見るなんて大した面白みも何もないプランもあるらしいですが、今回利用した会社、QUARKではいろいろな貴重な体験をさせていただきました。南極の極寒の海に飛び込んだり、至近距離でクジラやペンギンを見れたり、カヌーをしたりなど、本当に様々なことを体験できました。本稿ではそのいくつかを紹介していきたいと思います。

 南極旅行で最も印象に残ったのはクジラです。皆さん海でクジラを見てきたと言ったら基本的には遊覧船から鯨が潮吹いているのが見えた、みたいなものを想像するかと思いますが、クジラたちは案外好奇心が大変旺盛で、あちらのほうから寄ってきたりしてきました。クジラ観察のために小型のゴムボートに乗ってクジラのほうまで行ったからというのもあると思いますが、どちらにせよこちらが帰るまでは基本的にずっと周りを泳いだり近づいたりしてきました。書いてて思いましたがなんだか威嚇されてるみたいですね。少なくともボートに接触とかはなかったのでただ単純に珍しいものが近づいてきたから見に来たという感覚だったんだと思います。

 何回かクジラたちを見に行く機会があったのでいろんなクジラを見れました。なかでも印象的だったのは睡眠している母親の周りを泳いで遊んでいるクジラの子供です。見に行った時に結構興味津々であっちから寄ってきたり、尾ひれを出して海面にたたきつけて水しぶきを上げさせたりして愉快でかわいらしいクジラでした。この後に戻る時間になった時にガイドさんが一番残念がってたのが面白かったです。

 ほかにも二頭のクジラが近寄ってきて、ほんとに手を出したら触れそうなくらいの距離に来たりして多分僕の人生の中で一番神秘的な経験をしたと思います。多分この上ないほどクジラを身近に感じたんじゃないでしょうか。氷山に囲まれた場所で至近距離でクジラたちが潮を吹いたりして、水族館で見るそれとはまた別の感動がありました。

 南極で止まっていた船では、外に探検に出ていない間は、南極の探検家の歴史や南極の氷河の流動などについた様々なことを教えていただきました。南極の生物の種類、その日見たのがどんな生き物たちだったのか、どんな品種だったのか、など教えていただいたことは多岐にわたります。

 さて、ここまでは鯨メインで話しておりましたが、もちろん南極で遭遇した生物は彼らだけではありません。クジラたち以外にも、たくさんのペンギンや、アザラシとも遭遇したりしました。水族館で見るそれとは違い、アザラシたちは捕食者らしい獰猛な印象を受けました。多分ペンギン捕食をしてるの見たからでしょうね。あいつらペンギン捕まえたら空に投げて遊ぶんですよ。ちょっと怖かったです。ペンギンたちはかわいかったですね。文句のつけどころがない。特に、生まれて一年とかのペンギンは好奇心が旺盛で、観光客が奥に行き過ぎてしまわないように突き刺された棒が気になって必死にはむはむしだしたりする子がいてとてもかわいかったです。

 この子ですね。はいかわいい。ほかにも夫婦のようにお互いに向き合ったまま微動だにしないペンギンたちがいたりもして面白かったです。

 なんかペンギンたちののほほんとした過ごし方を見ていると心が洗われましたね。南極にはほかにもかわいらしい生き物以外にも息をのむような絶景も観れました。個人的には一番印象的なのはデセプション島という火山島の景色で、この島の何が特別かというと、一万年前の火山の噴火によってカルデラ湖ができており、馬蹄形になっており、火山も活発であり、地熱により温泉が湧き出ています。要は南極の桜島みたいなものですね。イギリスの観測基地に作り替えられた過去の捕鯨基地の廃墟もあり、時間帯により地熱で大量の水蒸気が上り非常に幻想的な風景を演出してました。

 サイレント・ヒルみたいですね。もちろんペンギンとアザラシたちはこのような場所でも活発でした。奥に見えるのは鯨油の保管施設か何かだと思います。そのさらに奥、かなり見えにくいと思いますが、飛行機の格納庫がありました。天候などの観測に使用していたそうです。個々の沿岸部は本当にいろんなものが置いてあり、埋もれてハンドルとボンネット、あと前部座席の先っちょだけ出てる車とかがありました。本当に別世界に迷い込んだ気分でした。あとふつうに食い荒らされたペンギンの死体もありました。ちょっとグロかったです。それから、謎に飛行機の墜落跡もありました。

 軽くホラーでした。やはり南極を探検する難易度は天文学的なものなのだなと再認識させられました。というか、横の墜落跡に目もくれず喧嘩に明け暮れるアザラシたちは見ていて面白かったです。

 帰りはドレイク海峡という、世界でもっとも荒れる海域として有名な海峡なので、身構えていたのですが、びっくりするほどおとなしかったので少し拍子抜けでした。大人しかったといいましても船体の揺れがちょっとしたジェットコースター気味になっていたことと、普段全く酔わない体質なのになぜか気分が悪くなったことと、まあ普通の海の大人しさではなかったです。ちなみに去年の航海では誰も立てなくなって食材や物があちこちに飛び回っていたようです。その動画を見せてもらいましたが普通に怖かったです。この帰り道をたどって改めて1800年代とかに「探検しようぜ!」とか言ってコンディションが何倍もひどい木造の船でドレイク海峡を越え、南極点に到達して見せた先人達がどれほどすごいかを思い知らされました。あらゆる援助の見込みもない最果ての地へ乗りだした先達には、もはや畏敬の念以外何も抱けません。

 さて、春の南極旅行でのあらましはこれくらいのものでしょうか。ほかにもいろいろとカヌーを漕いだり、野生のシャチを見たり、極寒の海に飛び込んで凍えたり、話せばきりがないのでここらで切り上げようと思います。本当に貴重な体験をさせてもらったと思います。

東 藍

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